
2026年春、新入社員による情報漏洩が相次ぎ、企業の情報管理体制が改めて問われています。
SNSへの軽い投稿がきっかけとなり、社内資料や個人情報が外部に流出するケースは決して珍しくありません。「うちの会社は大丈夫」と思っていても、実際には新入社員のちょっとした認識のズレが大きな事故につながることがあります。
本記事では、なぜ新入社員による情報漏洩が起きるのか、気を付けるべき社員は新入社員だけなのか、そして企業として取るべき対策について解説します。
2026年春・相次いだ主な情報漏えい事案
- 番組制作会社の新入社員と思われるアカウントが、民放テレビ局の入館証や人気番組のシフト表とみられる画像をInstagramのストーリーズに投稿。
- 大手電機メーカーの新卒社員が、社員番号・所属部署・氏名が入った社内書類の写真をInstagramに投稿し問題化。
- 政令指定都市でも、新規採用職員による研修資料のSNS流出が問題化。定例の市長会見でも取り上げられ、行政機関でも対策の遅れが露呈した。
このように業界問わず、SNSへの情報流出が発生しています。
なぜ新入社員による情報漏洩が相次ぐのか
新入社員による情報漏洩が起きてしまう要因として、3つ考えられます。
理由1:会社の情報取り扱いルールを理解していない
新入社員は「個人情報は守るべき」という意識はあっても、「会社の情報をどこまで公開してよいか」の判断基準を持っていません。資料の写真をSNSに投稿することが社内規程違反であり、場合によっては損害賠償や懲戒処分に発展しうることを、入社前から深く意識している人はほとんどいません。そのため、社内資料を「大したことない」と思ってSNSに投稿してしまったり、名札や社員証の写真をアップしてしまったり、業務内容を何気なく共有してしまったりすることがあります。
企業ごとにルールは異なるため、明確に教育しなければ判断できないのが実情です。
理由2:SNSの投稿が消える仕様を過信
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今回問題になった多くの事案はInstagramのストーリーズへの投稿がきっかけでした。ストーリーズは24時間で消える仕様のため、「消えることを前提に、多少の内容なら大丈夫」という心理になりやすい構造があります。 Instagram以外のSNSでも、例えばBeRealは24時間後にはタイムラインから自動的に消えますし、Threadsのゴースト投稿も24時間で自動的にアーカイブされる仕様(エフェメラルSNS)であるなど、データとして残らない仕様の機能もあります。 |
よって、映ってはいけないものがあっても『消えるから大丈夫』、公開範囲が友人限定だから『大丈夫』、フォロワーが少ないから『大丈夫』、こうした過信をしているユーザーは少なくないでしょう。
しかしSNS上から投稿が見えなくなったからといっても、スクリーンショットで投稿を保存され、それを拡散されると、意図せず第三者に届いてしまう可能性が高くなります。また実投稿を削除したとしても、保存されたデータを第三者に拡散されてしまった場合、インターネット上にあるそれらのデータを完全に削除することは非常に困難です。
理由3:情報漏洩のインパクトを理解していない
上述のとおり、SNSを起因とした情報漏洩が発生した場合、完全にそのデータを消し去ることは難しくなってしまいます。SNS投稿による情報漏洩は不注意や認識不足から引き起こされるケースが多いものの、単なるミスでは済みません。企業にとっては、取引停止、信用失墜、損害賠償請求、社員への処分といった重大問題に発展します。気軽な投稿が思わぬトラブルにつながるという現実を、新入社員が具体的にイメージできていないため、行動のリスクを過小評価しがちです。
では、気をつけるべきは新入社員だけでしょうか。答えはNOです。
中途入社の社員も、前職と情報管理のルールが異なれば同じリスクを抱えます。派遣社員や業務委託スタッフも、社内情報に触れる以上は同様です。「自社の社員ではないから」という理由で教育の対象外にしていると、思わぬところから情報漏洩が起きかねません。情報セキュリティの教育と意識づけは、雇用形態を問わず全員が対象と考えることが重要です。
企業が取るべき対策
こうしたトラブルのリスクを下げるために、企業として対策すべき内容をご紹介します。
1. 情報取り扱い・SNS利用ルールの明確化
企業として情報の取り扱いルールとSNS利用のルールを明確にして社員へ知らせることが大切です。具体的には下記の内容があげられます。
- 情報区分(機密、社外秘、撮影禁止場所など)の明示
- SNSを利用する場合のルールの明示、具体的な禁止事項
2. 従業員向けの教育
ポイントは、「抽象論ではなく具体例で教えること」です。特にSNS投稿ルールに関しては、所属している企業が特定されると企業を巻き込んだ炎上につながるリスクが高くなります。所属している企業が特定できること、またはフルネームでSNSを行うのであれば、どんなリスクがあるのか、どういった情報を投稿してはいけないなど具体的に教育する必要があります。
また、実際に起きたセキュリティ事故などがあれば合わせて共有することで理解が高まることが期待できます。
3. セキュリティ事故対応体制の確立・運営
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重要なのが、情報漏洩につながるセキュリティ事故が発生した際の初動対応です。そのためにも、事故を起こした従業員がミスを隠さずに報告できる文化の醸成と、即時報告ルールの徹底が必要です。 また、報告者が適切な部門へ連絡できるよう、どのような時にどこへ報告するのか、報告経路を明確化しておくことも重要です。 情報漏洩は発見が早いほど被害を最小化できますが、業務時間外、土日祝日、出張先や自宅など、会社の外のさまざまな場所や時間帯で発生するため、対応窓口の運営に考慮が必要です。 |
SNS以外の情報漏洩リスクと初動対応
情報漏洩はSNS投稿だけではありません。例えば、会社貸与デバイスの紛失・盗難や、メールの誤送信、サイバー攻撃など様々な要因が考えられます。それらを防ぐためにMDMの導入やエンドポイントセキュリティ製品の導入など様々なセキュリティ対策の実施を行っている企業は多いかと思いますが、大切なのは、端末の盗難・紛失、メールの誤送信などの人的ミス、端末の不審な挙動、こうした事態が発生したときに、従業員が正しく対処できるかどうかです。
例えば、スマートフォンを紛失し悪意のある人に渡ってしまった場合、端末内のデータを拡散されたり、転売されたりするなど様々なリスクが考えられます。
紛失したら社員がすぐにセキュリティ事故の受付窓口へ連絡し、担当者がその端末を利用できなくする、あるいはデータを消去するなどの初動がスムーズに行えることが望まれます。この対応が遅れるほど、情報漏洩や被害拡大のリスクが高まります。
4. 貸与デバイスにおけるSNS利用を制限
会社貸与のPCやスマートフォンによるSNS利用や投稿による情報漏洩リスクを下げるため、アプリケーションのインストールや会社ネットワークからSNSへのアクセスを制御することも対策の一つとして考えられます。
早期対応できる体制は整っていますか?
従業員に対するセキュリティ教育は重要ではありますが、繰り返し継続して教育を行い、従業員の記憶に定着させることが重要です。今後セキュリティ事故が発生した際に備えるためには、継続的なセキュリティ教育の実施により起きないようにすることも大切ですが、"起きたときにどう動けるか"が備わっているかどうかも重要です。
- セキュリティ事故がいつ発生してもすぐに対応できる体制が整っているか
業務時間後の夜間や休日などにセキュリティ事故が発生した場合、いつでも受付ができる窓口があることが重要です。 - 重要なセキュリティ事故が発生した際に、担当者へすぐ連絡が届くか
優先順位に応じて、重大なインシデントが発生した場合に適切な担当者あるいは責任者へすぐに連絡がいくようなスキームが作れていることが大切です。 - 会社が貸与しているデバイスが紛失・盗難した際に即時対処が可能か
例えば、リモートワイプやリモートロックなど、情報漏洩のリスクを下げる対処がすぐにできるようにしておくことも重要です。
これらが整っていない企業は、被害が拡大しやすい傾向にありますので、ぜひこのタイミングで見直してみてはいかがでしょうか。
対応窓口の設置・運営でお悩みのご担当者様へ
JBサービス株式会社では、企業や組織の情報システム部門ご担当者様に代わりセキュリティ事故の一次受付を24時間365日対応します。
具体的には:
- 社員からのセキュリティ事故発生の報告受付
- 重大なセキュリティ事故が発生した時の担当者へのエスカレーション
- PC・スマートフォン紛失時のリモートワイプ対応
- 初動対応の支援
などに対応します。また、会社貸与のPCやスマートフォンの紛失や盗難トラブルに対応するため、MDMツールによるリモートワイプやリモートロックなどにも対応しています。(MDMの導入などもご相談ください)
まとめ
新入社員による情報漏洩が増える3つの理由と企業の対策についてご紹介しました。
新入社員による情報漏洩は、教育不足、SNSへの過信、リスク理解不足といった要因が重なって発生します。情報漏洩のリスクを少しでも少なくするためにも、ルールの整備、新入社員に限定せず適切な教育とセキュリティ事故対応窓口の体制整備、セキュリティ対策の強化を行うことをおすすめします。
セキュリティ事故対応の窓口の運営でお困りの方は、ぜひJBサービス株式会社へご相談ください。

