2022年4月に経済産業省が発表した「2022年版中小企業白書・小規模企業白書概要」によると、重視する経営課題の1位は「人材」でした。
人手不足が深刻化する日本において、どの業界においても限られた人員での生産性向上は急務と言えるでしょう。
こうした背景から労働者の不足を解消するツールとしてAIやRPAなど新たなテクノロジーを活用した製品・サービスが登場していますが、本コラムではMicrosoft社が提供するPower Platformについて紹介します。
Microsoft 365またはOffice 365を既に利用しているシステム担当者の方はぜひご覧ください。
Power Platformとは

Power Platformとは、Microsoft社が提供するアプリケーションのPower BI、Power Appsなどの総称です。
Power Platformに属しているアプリケーションは共通して「ローコード開発できる」ことがコンセプトになっています。
これらのアプリケーションは単体でも利用でき業務の効率化を実現しますが、Power PlatformやMicrosoft 365のアプリケーションを組み合わせることで、全体最適を実現できるのです。
できることの一例
Power Platformの活用により、できることは下記のようなことが挙げられます。




業務用アプリケーションの作成はA社、チャットボットの運用はB社、Webサイトの運営はC社など、それぞれ部分最適を行っている組織にとっては、Power Platformを活用することで内製化によるスピードアップ、各システムの連携にかかるコストの削減にもつながることでしょう。
各アプリケーションの機能
Power Platformの構成要素である5つのアプリケーションの機能を紹介します。
Power BI

Power BIはさまざまなデータを迅速に分析・可視化するアプリケーションです。
Excelでも売上データなどの作成できますが、データ量が増えるほどファイルは重くなり、管理も難しくなってきます。Power BIはさまざまデータベースとも連携ができ、データ入力や分析に関する負荷を減らしつつ、豊富なグラフを用いたダッシュボード形式でビジネスの状況を素早く確認できます。
Power Apps

Power Appsは、アプリケーションを迅速に作成して組織内で共有できるクラウドサービスです。ライセンスによって機能は少し異なりますが、Microsoft 365またはOffice 365プランにバンドルされている場合もあります。
実際にPower Appsでアプリケーションを作った過程を「Power Apps VS kintone、アプリ作成で最適なのはどっち?」で紹介しています。どのようなアプリケーションを作成できるのか興味のある方は合わせてご覧ください。
Power Automate

Power Automate(旧Microsoft Flow)は、自動化プロセスを作成します。例えば、英語のメールを受信したら自動で翻訳サービスにて日本語に変換させたり、メールの添付ファイルをOneDrive for Businessに保存させたりなど、あらかじめ定められた条件に基づく自動化を実現できます。
Power Automateを活用ケースに関しては下記コラムで紹介しています。
Power Virtual Agents

Power Virtual Agentsは、チャットボットが作成できるアプリケーションです。作成したチャットボットはMicrosoft Teams内で利用できるため、社員からの問い合わせ業務対応の負荷軽減にもつながります。
一般的にチャットボットで利用するAIには学習が必要不可欠ですが、自然言語処理を搭載した自己学習型AIのため時間とともに改善するといった機能も魅力的です。
Power Pages

Power Pagesは、Power Platformと連携可能なWebサイト作成のアプリケーションです。2022年5月に開催されたMicrosoft Build 2022で、Microsoft Power Platform5つ目のアプリケーションとして発表されました。
外部向けWebサイトの構築・管理ツールであるPower Apps Portalsの後継として位置づけられています。
【参考動画】Power Appsで問い合わせ管理アプリを作ってみた
Power PlatformのPower Apps、Power Automateを利用して問い合わせ管理アプリを作成した流れを、動画で公開しています。
実際のアプリの操作や画面を確認されたい方はぜひご覧ください。コラム形式で3話に分けて紹介もしていますので「Power Appsで問い合わせ管理アプリ作ってみた−Forms・SharePoint編−」から合わせてご覧ください。
おすすめしたい組織
Microsoft Teamsをすでに業務で利用している場合、Power Platformの活用をおすすめします。Microsoft 365で利用しているアプリケーションが多ければ多いほど、Power Platformの恩恵を感じやすいでしょう。
まずは、Power Automateで定常的に投稿するメッセージを自動化したり、リマインドメールの送付を自動化したりなど、少しずつ身近な業務の効率化で活用してみてはいかがでしょうか。
また、アプリケーション作成が簡単かつスピーディーに実装できるPower Appsの活用もおすすめします。ノーコード開発ではなくローコード開発のため、ある程度のスキルは必要ですが、手軽にアプリケーションを導入したいというシーンで活用できることでしょう。
必要なライセンス
Power Platformというライセンスはありませんので、使いたい機能を確認した上で購入する必要があります。一部のアプリケーションでは期間が限定されるものの無償版も用意されています。
一部の機能はMicrosoft365プランに含まれる場合もあります。Microsoft 365のプランについては「Microsoft 365とは?メリットとプラン」で紹介しています。
Power BI(無料) | Microsoft Power BI Desktop(ダウンロードはMicrosoft社Webサイトをご確認ください) |
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Power BI(有償) | Power BI Pro、Power BI Premium(価格はMicrosoft社Webサイトをご覧ください) |
Power Apps(無料) | 30日間の無料試用版(ダウンロード方法はMicrosoft社Webサイト「試用環境について」をご覧ください。) |
Power Apps(有償) | サブスクリプションプラン、従量課金プラン(価格はMicrosoft社Webサイトをご覧ください。) |
Power Automate(無料) | Power Automate Desktop(条件やダウンロード方法についてはMicrosoft社Webサイトをご覧ください。) |
Power Automate(無料) | 90日間の無料試用版(条件やダウンロード方法についてはMicrosoft社Webサイトをご覧ください。) |
Power Automate(有償) | サブスクリプションプラン、従量課金プラン(価格はMicrosoft社Webサイトをご覧ください。) |
Power Virtual Agents(無料) | 90日間の無料試用版(条件やダウンロード方法についてはMicrosoft社Webサイトをご覧ください。) |
Power Virtual Agents(有償) | 有償ライセンス、オプションライセンス(価格はMicrosoft社Webサイトをご覧ください。) |
Power Pages(無料) | 30日間の無料試用版(条件やダウンロード方法についてはMicrosoft社Webサイトをご覧ください。) |
Power Pages(有償) | サブスクリプションプラン、従量課金プラン(価格はMicrosoft社Webサイトをご覧ください。) |
※最新のライセンス情報に関してはMicrosoft社公式Webサイトでご確認いただくようお願いします。
まとめ
Power Platformについてご紹介しました。すでにMicrosoft 365またはOffice 365ユーザーであれば、利用可能なライセンスが含まれているか確認の上、触ってみてはいかがでしょうか。
環境作成をどのように設計すればよいかわからないなど、導入に関するサポートをお求めであればJBサービス株式会社までご相談ください。
また、Microsoft 365の導入を検討されているお客様で環境の構築や、導入後の運用についてご相談されたい場合もお気軽にお問い合わせください。
JBサービス株式会社ではMicrosoft製品に精通した経験豊富なエンジニアが在籍しています。これまでの導入実績の一部を「JBサービス株式会社のここがすごい!」で紹介しています。