Microsoft Defender for Cloudとは?導入前に知っておきたいメリット・注意点まとめ

Defender for cloudのイメージ

ビジネスのスピードアップや柔軟なシステム運用を求め、クラウドサービスの利用は年々増加しています。しかしその一方で、セキュリティリスクの増大という新たな課題も顕在化しています。例えば、運用中のオンプレミス環境(ハイブリッド)やマルチクラウドのリソースを併用したクラウド移行では攻撃対象領域が広がり、クラウドアプリケーションの開発・展開は一層複雑化しています。さらに、規制要件が高度化し変化も激しいなど、特にハイブリッドクラウドやマルチクラウド環境が普及する現在では、一元的なセキュリティ管理の重要性がこれまで以上に高まっています。

Microsoft Defender for Cloudは、こうした現代のクラウド環境に求められる包括的なセキュリティ対策を提供するサービスです。この記事ではMicrosoft Defender for Cloudの概要や仕組み、導入方法、料金体系、他サービスとの比較などをご紹介します。

クラウド環境のセキュリティ対策でこんなお悩みはありませんか?

  • AWS・Azure・GCPなどマルチクラウド環境のセキュリティ管理が煩雑...

  • クラウド設定ミス(構成ミス)によるリスクが不安...

  • セキュリティアラートが多すぎて優先順位をつけるのが大変...

  • クラウドセキュリティの人材が不足、運用の人手・スキル不足...

Microsoft Defender for Cloud が解決します!

Microsoft Defender for Cloudとは

Microsoft Defender for Cloudは、CNAPP(Cloud Native Application Protection Platform)の概念に基づき、CSPMとCWPPの機能を統合して提供されるサービスです。さらにDevSecOpsの考え方を取り入れることで、開発段階から実行時までのアプリケーションライフサイクル全体にわたり、クラウドセキュリティ態勢管理やクラウドワークロード保護など、多様なセキュリティ機能を一元化して提供します。

2021年11月に「Azure Security Center」と「Azure Defender」が統合され、Azure以外のクラウドサービスやオンプレミス環境にも対応するため、「Azure」から「Microsoft」へと名称が変更されました。

Microsoft Defender for Cloudは、Azureだけでなく、AWSやGCPなどの他社クラウド環境、さらにオンプレミス環境のリソースも保護します。

提供される主な機能

コンポーネント解決される問題
開発セキュリティ操作(DevSecOps) 開発段階からクラウドリソースのセキュリティを統合し、構成ミスや脆弱性を検出・対処することで、DevSecOpsプロセスをサポートします。これにより、DevSecOpsのプロセスにおいて、コードの脆弱性スキャン、システム基盤の保護、秘密管理などの作業を自動化し、アプリケーションのライフサイクル全体を安全に保護します。
クラウドセキュリティ態勢管理(Cloud Security Posture Management:CSPM) クラウド環境のセキュリティ設定を継続的に評価し、改善のための推奨事項を提供します。これにより、セキュリティ体制の弱点を特定してリスクを軽減し、クラウド環境全体の潜在的なリスクを可視化します。効率的なセキュリティレベルの向上を支援するために、無料のFoundational CSPMと、より高度な機能を提供するDefender CSPMプランがあります。
クラウドワークロード保護(Cloud Workload Protection Platform:CWPP) 仮想マシン(VM)、コンテナ、ストレージ、データベース、サーバーレス関数など、クラウド上の各種ワークロードを脅威から保護します。リソースの種類ごとに専用のDefenderプランが用意されており、それぞれのワークロードに特化した脅威検出と防御を提供します。

Microsoft Defender for Cloudのメリット/デメリット

Microsoft Defender for Cloudの導入を検討する際に考慮すべき主なメリットとデメリットをご紹介します。

メリット

  • Microsoft製品との高い親和性

    AzureをはじめとするMicrosoft製品との連携が非常にスムーズです。

  • マルチクラウド・ハイブリッド対応

    Azure以外のAWS、GCP、オンプレミス環境も一元的に保護・管理できます。

  • 包括的なCNAPP機能

    CSPM、CWPP、DevSecOps機能を統合し、アプリケーションライフサイクル全体を保護します。

  • AIを活用した脅威対策

    高度なAIを活用してAIワークロードを含む最新の脅威に対応します。

  • セキュリティスコアによる可視化

    セキュリティ体制を数値で可視化し、改善点を明確にします。

  • 規制コンプライアンスのサポート

    多くの業界標準や規制基準への準拠をサポートします。

デメリット

  • 料金体系の複雑さ

    プランが多岐にわたり、料金の算定が複雑に感じられる場合があります。

  • Microsoft以外のクラウドに特化した利用の場合

    AWSやGCPなどの特定クラウドに深く特化したセキュリティ対策を求める場合、そのクラウドネイティブなサービスの方がきめ細かい設定や連携が可能なケースもあります。

おすすめしたい企業、ユースケース別の選択ポイント

Microsoft Defender for Cloud の導入を特におすすめしたい企業の特徴をご紹介します。いずれかに当てはまる場合は、ぜひ導入を検討してみてはいかがでしょうか。

  • Microsoft Azureをメインで利用している企業

    Microsoft Defender for CloudはAzure環境との統合が強固であり、最適な選択肢となります。

  • マルチクラウド・ハイブリッド環境を運用している企業

    複数の環境にまたがるセキュリティを一元的に管理したい場合に非常に有効です。

  • DevOpsプロセスにセキュリティを組み込みたい企業

    開発段階からセキュリティ対策を強化し、ライフサイクル全体でアプリケーションを保護したい場合に適しています。

  • AIワークロードのセキュリティ対策を検討している企業

    AIセキュリティとAI脅威保護機能により、生成AIアプリケーションを保護できます。

  • 運用コストを削減し、セキュリティ管理を効率化したい企業

    一元的な管理と自動化機能により、運用負荷を軽減できます。

導入前に気を付けておきたいポイント

Microsoft Defender for Cloudの導入にあたり、事前に確認しておきたいポイントを紹介します。

  1. ライセンスの重複に注意

    Defender for Endpoint for Serversのライセンスは、Defender for Serversに含まれます。既にMicrosoft Defender for Endpoint for Serversのライセンスを保有している場合、Microsoft Defender for Serversプラン1またはプラン2の該当部分については支払いは行われません。

  2. Azure以外の環境はAzure Arcが必要な場合も

    Azure Arc経由でないDefender for Serversの直接導入はプラン1相当に限定され、プラン2の機能の多くについてはAzure Arcが必要です。

  3. ログ保管コストの考慮

    Log Analyticsワークスペースの取り込みや保持料金が別途発生するため、コストを考慮した運用が必要です。

料金算定方法やコスト最適化のポイント

Microsoft Defender for Cloudには、無料で利用できる基本機能と、有料の強化セキュリティ機能があります。以下では、コストを最適化するためのポイントをご紹介します。

  1. 無料プランの活用

    Foundational CSPMは無料で利用でき、基本的なセキュリティ評価と推奨事項を提供します。

  2. 必要なプランのみ有効化

    全ての有料プランを一度に有効にするのではなく、保護対象のリソースや要件に合わせて必要なプランのみを選択的に有効にすることでコストを最適化できます。

  3. 無料試用期間の利用

    Microsoft Defender for Cloudは最初の30日間は無料試用期間です。機能を評価してから本格導入を検討できます。

  4. Microsoft Defender for Cloudコミットユニット(DCU)の事前購入

    長期利用が見込まれる場合、DCUを事前購入することで従量課金制と比較して割引が適用される場合があります。

他社のCNAPPソリューションとの違い

Microsoft Defender for Cloudは、マルチクラウド・ハイブリッド環境を対象とした包括的なセキュリティソリューションですが、他の主要なCNAPPソリューションと比較すると、以下のような特徴があります。

  • Prisma Cloud

    Palo Alto Networksが提供するCNAPPソリューションで、マルチクラウド環境における包括的なセキュリティを提供します。ベンダーに依存しないマルチクラウド対応を検討する場合の選択肢になります。

  • AWS Security Hub

    AWSが提供するセキュリティ管理サービスで、複数のAWSサービスからのセキュリティアラートと検出結果を一元的に集約し、セキュリティ体制を可視化します。AWS環境に特化しており、他社クラウドやオンプレミスへの対応は限定的です。

まとめ

Microsoft Defender for Cloudは、現代の複雑化するIT環境において、クラウドサービスのセキュリティを強化するための強力なソリューションです。クラウド環境のセキュリティ向上を検討されているIT管理者・担当者の方は、ぜひMicrosoft Defender for Cloudの導入をご検討してみてはいかがでしょうか。

JBサービス株式会社では、Microsoft Defender for Cloudの導入から運用までをサポートします。導入や運用支援のパートナーをお探しの際は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

Microsoft製品関連の導入・運用などの実績については、下記ページをご覧ください。

関連記事

JBサービス株式会社のここがすごい!
JBサービス株式会社のここがすごい!

JBサービス株式会社のここがすごい!

Microsoftソリューションの導入・構築・運用は、JBサービス株式会社にお任せください。これまでの導入実績や保有資格、ご支援内容についてご紹介します。

  JBサービス株式会社のここがすごい!へ