
FortinetのFortiGateにおけるSSL-VPNのトンネルモードは、すでに最新のFortiOSでは廃止されており、現在は移行対応が求められるフェーズに入っています。特にFortiOS 7.6.3以降では、SSL-VPN機能そのものが削除されているため、従来の設定はアップグレード時に引き継がれません。
現在もSSL-VPNを利用している環境では、アップグレードによってリモートアクセスが意図せず停止する可能性があるため、事前に移行計画を策定しておくことが重要です。
また、FortiOS 7.4系の技術サポート終了(EOES)は2027年5月11日、サポート終了(EOS)は2028年11月11日とされており、期限までに段階的な移行を進める必要があります。
本記事では、SSL-VPN廃止の背景と最新動向を踏まえ、IPsec VPNへの移行方法といった今後の選択肢についても解説します。
2026年にサポート終了を迎えるFortiGate機器と後継モデルの選定ポイントは、【2026年EOS対応】FortiGate 50E/60E/80E/100Eのサポート終了と後継機種リプレースガイドで詳しく解説しています。
SSL-VPNトンネルモード廃止の背景
SSL-VPNは長年、リモートアクセス環境の基盤技術として使われてきましたが、最近はセキュリティと運用面で問題点が目立っています。
例えば、FortiGate製品のSSL-VPNトンネルモードには、リモートから任意コードが実行されるおそれのある脆弱性が報告されています。認証なしで第三者が細工したリクエストを送信すると、不正なコマンドが実行される可能性があるとのことです。この件については情報処理推進機構(IPA)からも注意喚起が出されており、早期の代替方式(IPsec VPNなど)への切り替えが強く推奨されています。
ここではSSL-VPNを廃止を検討すべき主な理由を4つ整理します。
1. 頻発する脆弱性と運用コストの増大
SSL-VPN装置は攻撃者の主要な標的であり、脆弱性が定期的に報告されています。ベンダーはその都度、緊急のセキュリティパッチやファームウェア更新を公開しますが、企業のIT担当者は業務影響を考慮しつつ迅速に適用する必要があります。結果として、セキュリティ運用の負担が増加しています。
2. SSL/TLSプロトコルの複雑性
SSL-VPNはWeb通信でも利用されるSSL/TLSプロトコルをベースとしています。このプロトコルは複雑であるため、実装時のバグを引き起こしやすい状況があります。こうした設計上の難しさが、セキュリティリスクを高める一因となっています。
3. 広すぎるアクセス範囲と侵入リスク
攻撃者はSSL-VPNを企業ネットワークへの「入口」として悪用する傾向があります。脆弱性を突かれて内部侵入を許した場合、権限昇格や横方向への移動(ラテラルムーブメント)によって被害が拡大する危険性があります。従来型VPNでは、このような侵入後の挙動を制御することが難しいのが現状です。
4.国際機関からの推奨方針
2021年9月、米国国家安全保障局(NSA)と米国サイバーセキュリティ・社会基盤安全保障庁(CISA)は共同文書「Selecting and Hardening Remote Access VPN Solutions(リモートアクセスVPNの選定と強化)」を発表しました。その中で「可能な限りVPNをIKE/IPsec方式に設定し、SSL/TLS-VPNおよびフォールバック機能を無効化すること」が推奨されています。つまり、国際的にもSSL-VPNからIPsec-VPNへの移行が安全対策として推奨されているのです。
移行期限と注意点
SSL-VPNの利用は旧バージョンでは継続可能ですが、すでに移行前提のフェーズに入っています。
FortiOS 7.6.3以降ではSSL-VPNトンネルモードが完全に削除されており、アップグレード時に既存設定は引き継がれません。そのため、事前にIPsec VPNなどへの移行を完了しておく必要があります。
また、FortiOS 7.4系の技術サポート終了(EOES)は2027年5月11日、サポート終了(EOS)は2028年11月11日と発表されており、遅くともこの期間内での移行が求められます。
- 対象バージョン: FortiOS v7.6.3以降(SSL-VPN削除済み)
- 移行推奨時期: できるだけ早期
FortiOS各シリーズにはサポート期限が設定されています。期限を過ぎると、セキュリティパッチやバグ修正の提供が停止されるため、最終的にはv7.6系へのアップグレードが避けられません。
FortiOSのサポート終了日やリスクについては、「【注意喚起】FortiOS 7以前をご利用の方へ|サポート終了(EOS)とリスク・対策まとめ」で詳しく解説しています。
SSL-VPNとIPsec-VPNの違いと、移行メリット
SSL-VPNの代替として推奨されるのがIPsec-VPNです。主な利点は以下の通りです。
- 強力な暗号化と完全前方秘匿性(PFS)
IKEv2を基盤とした暗号化方式により、AES-GCMやChaCha20-Poly1305など最新の暗号スイートを利用可能です。PFSによってセッションごとに鍵が生成され、通信の安全性が大幅に向上します。 - ハードウェア暗号化による高スループット
NP7モジュールなどを利用することで暗号処理をハードウェアオフロードでき、数Gbps~数十Gbps規模の通信でも安定稼働します。 - 高度な認証とポスチャーチェック統合
EAP-TLS認証や多要素認証(MFA)に標準対応しています。FortiClient EMSとの連携により、端末状態(ウイルス対策・パッチ状況)の確認も自動化可能です。 - 統合管理とゼロトラスト対応
FortiManagerやFortiAnalyzerでポリシー・ログを一元管理できます。また、ZTNAやSASEとの親和性が高く、ゼロトラスト戦略にも対応できます。
SSL-VPNとIPsec-VPNの技術的な違い
利便性から普及したSSL-VPNですが、長期的な安全性と運用効率を考慮するなら、標準化されたIPsec-VPNへの移行が最も現実的な選択肢といえるでしょう。SSL-VPNとIPsec-VPNの技術的な違いとしては下記があげられます。
- プロトコル:SSL-VPNはTLS/SSLを利用するWebベースの仕組みで、ベンダー独自実装が多い一方、IPsec-VPNはIETF標準(RFC)に基づいた規格化技術
- 実装の安定性: IPsecは標準化済みでトンネル中心
- 攻撃対象領域: SSL-VPNはHTTPSポートを公開、スキャン・攻撃を受けやすい
- 性能面: SSL-VPNはCPU依存のため同時接続が多いと負荷大、IPsecはハードウェア処理で高性能
また、FortiOS 7.6.1では、IKEおよびESP通信をTCP/443ポート経由で行えるようになりました。これにより、UDP/500や4500ポートが制限されている環境でもVPNを確立できるようになりました。
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