リモートメンテナンスの運用が回らない...リモート保守のよくある課題と解決方法とは

ヘルプデスクのイメージ

リモートメンテナンス可能な機器を納入していても、「アラート対応に追われている」「リモートでは解決できず、結局フィールドサービスの手配が必要」など、納入後のサポート運用に課題を感じていませんか。

本記事では、リモート保守運用でよくある課題を整理し、自社でできる改善策からアウトソーシングの活用方法まで分かりやすく解説します。

リモートメンテナンス(リモート保守)とは

リモートメンテナンスとは、技術者が現場に訪問せず、インターネットを介して機器の監視や保守、トラブルシューティングを行う手法です。センサーやIoT技術の進化により、機器の稼働状況をリアルタイムで監視でき、異常時の迅速な原因特定が可能になりました。移動時間やコストの削減、人的リソースの最適化につながることから多くの産業で注目され、機器の予防保全や稼働率向上を目指す上でも重要な役割を果たしています。

リモートメンテナンスにおける「納入後」のよくある課題

機械を確認する作業員 リモートメンテナンス体制を導入したものの、実際の運用段階で課題に直面する企業も少なくありません。特に納入後のサポート運用では、以下のような問題が発生しています。

課題1:アラート対応と人的リソース不足

リモートメンテナンスでは、機器から送信されるアラート対応が追加業務となります。しかし、人的リソースが不足していると十分なサポート体制を組めず、夜間や休日の対応が特定の担当者に集中してしまいます。アラートの重要度の基準がない場合、緊急性の低い通知にも追われ、担当者の負担増や業務効率低下を招きます。

課題2:スキルの属人化とノウハウの分散

複雑なトラブル対応が特定の従業員に依存している場合、属人化が深刻な課題となり、退職や異動時に保守品質が低下するリスクがあります。また、ノウハウが社内に共有されていないと新たな知見も蓄積されず、組織全体の保守能力向上が妨げられてしまいます。

課題3:リモートで完結しない際の「現地派遣」管理

リモートだけでは解決できずに現地派遣が必要となるケースは多く、作業員の手配や日程調整で対応が遅れがちです。加えて、リモート担当から現地担当への情報共有が不十分だと、作業報告書の管理が煩雑化しやすくなります。その結果、現地派遣の管理工数が増え、保守部門全体の業務効率低下を招きます。

課題4:納入先からの問い合わせ窓口の混乱

納入先から問い合わせがあった際、機器の故障なのか、操作方法に関する質問かを仕分けできていないケースがあります。問い合わせ窓口が明確でない場合、顧客は誰に連絡すべきか迷い、問題解決までに時間がかかってしまいます。これにより顧客満足度が低下し、企業のサービス品質への評価にも悪影響を及ぼします。

リモートメンテナンスの運用が回らない主な原因

リモートメンテナンスの運用が上手く機能しない背景には、いくつかの根本的な原因が存在します。

アラートや問い合わせへの対応ルールが曖昧

アラートや問い合わせ対応が増える一方で、リモートメンテナンス運用に向けた体制が整っていない企業は多く存在します。「誰が・いつ・どこまで対応する」というルールが整備されず、従来の体制のまま運用しているため責任範囲が不明確となり、効率的な運用が実現できていない状況です。

ノウハウが「個人」に依存している

トラブル対応の手順や判断基準がマニュアル化されず、ベテランの経験と勘に依存している状態も大きな問題です。ノウハウが社内で共有されないため、保守品質が個人の能力に左右されてしまいます。その結果、本来得られる新しいスキルも蓄積されず、組織全体の保守能力が向上しません。

「リモート」と「現地」の連携フローが未整備

リモートでどこまで切り分けを行い、どの情報を揃えて現地派遣へ引き継ぐかという連携フローが確立されていない企業も多いです。リモート担当と現地担当の間で縦割り意識が残り、情報共有が不十分なまま業務が進行するため、状況確認や作業報告書が二度手間となり管理工数が増大してしまいます。

コア業務とノンコア業務が分離できていない

保守担当者は、本来蓄積されたデータを活用して製品改善や顧客への改善提案に注力すべきですが、日々のアラート対応に追われ、コア業務が後回しになりがちです。これにより「壊れたら直す(事後保全)」にとどまり、「壊れる前に直す(予知保全)」に必要なデータ分析・活用が進まず、運用効率の低下を招いています。

リモートメンテナンス運用の課題を解決する3つの方法

リモートメンテナンス運用における課題を解決するためには、自社の状況に応じた適切なアプローチを選択することが重要です。

社内体制の強化

保守人員を増やして24時間対応可能なシフト制を導入することで、人手不足の解消が期待できます。さらに勉強会やマニュアル整備を通じた社内教育により、技術者のスキルを向上させ、保守ノウハウを社内に蓄積できます。ただし、採用・教育には時間とコストがかかり、早急な人手不足解消にはつながりにくい点がデメリットです。

納入先向けのマニュアルやAIチャットボットなどの導入

問い合わせ件数の削減には、マニュアルやFAQの充実、AIチャットボットの導入など、納入先で自己解決できる環境を整えることが有効です。これにより、保守担当者の負担が軽減され、より高度な対応や改善業務に時間を割くことができます。ただし、マニュアルやFAQの作成、チャットボットの設定には、初期投資と定期的な更新が必要です。

サポート業務の専門家にアウトソーシング(外部委託)する

アラート監視、一次対応、現地派遣の手配などの業務を外部委託すると、即効性が高く専門家による高品質なサービスが期待できます。ただし、継続的な委託コストが発生し、委託先との連携や自社製品・サービスに関する知識共有が必要です。

なぜアウトソーシングがリモート保守の課題解決に効果的なのか

打ち合わせをする作業員

アウトソーシングを リモート保守運用の課題解決に活用することで、以下のようなメリット・効果が期待できます。

社内リソースをコア業務に集中できる

アウトソーシングによってアラート監視や一次対応業務を委託することで、空いたリソースを改善提案や顧客への付加価値提案など、売上に直結するコア業務に注力できます。限られた人的リソースを戦略的に再配置できるようになり、組織全体の競争力向上にもつながります。

リモート監視から現地派遣まで「窓口一本化」

アウトソーシングにより、アラート受信や納入先からの問い合わせ受付から、一次切り分け、現地派遣の手配、作業報告書の作成までを一貫して管理できる体制が構築されます。窓口が一本化されることで担当者の管理工数を大幅に削減し、問題解決までのプロセスがスムーズになります。

ノウハウが「仕組み」として可視化・最適化できる

アウトソーシング導入時には、社内のノウハウを外部委託先に共有する必要があります。特定の個人に蓄積されていた知識が可視化され、外部の専門家の視点を取り入れた運用改善により継続的なサービス品質の向上が期待できます。その結果、保守プロセス全体を最適化していくことが可能です。

サービス提供の幅が広がる

自社では難しい24時間365日対応も、外部委託することで実現できます。夜間・休日も専門スタッフが対応するため、高いサービス品質を維持でき、顧客満足度の向上や他社との差別化にも直結します。特に稼働停止が大きな損失となる分野では、迅速なサポート体制が顧客との長期的な関係構築に不可欠です。

アウトソーシングの導入例

医療施設での社外ヘルプデスク例

医療施設に導入された院内搬送ロボットの運用を支援するため、メーカーでは社内ヘルプデスク業務を外部に委託しています。ロボットがエレベーター内で停止したり、充電ステーションへのドッキングに失敗したり、自動ドア通過がうまくいかなかった場合には、委託先の専門スタッフがリモートで管理システムにログオンし、復旧をサポートします。現場で解決が難しい際には、フィールドエンジニアへエスカレーションする体制を構築。これにより、メーカーの社内スタッフはコア業務に専念できるようになり、医療施設側の運用効率向上と満足度の向上につながりました。

シェアオフィスでの社外ヘルプデスク例

シェアオフィス運営会社では、生体認証による入退室管理システムのトラブル対応を外部委託しています。利用者が認証エラーで入室できない場合、委託先のヘルプデスクがリモートからシステムにアクセスし、開錠支援や一次切り分けを実施。必要に応じて業者手配まで代行します。この仕組みにより、運営スタッフは突発的な対応負担から解放され、利用者の利便性とセキュリティを維持しながら、コア業務に専念できるようになりました。

失敗しないアウトソーシング先の選び方

リモート保守のアウトソーシングを成功させるためには、適切なパートナー選びが極めて重要です。以下のポイントを確認し、自社のニーズに合致する委託先を選定しましょう。

  • ポイント1:製品や業界の知見・実績があるか
  • ポイント2:リモート監視とフィールドサービスの両方に対応できるか
  • ポイント3:単なる「代行」ではなく「運用改善の提案」までしてくれるか

自社が扱う製品や業界の知見があり、導入実績や類似事例を持つ事業者を選ぶことで、スムーズな立ち上げと高品質な対応が期待できます。また、全国対応や現地派遣が可能な体制が整っていると、トラブル時の迅速な対応も実現できます。運用データを分析し改善提案まで行ってくれる事業者であれば、長期的な価値向上も見込めるでしょう。

リモートメンテナンスの最適化でサービス価値を高めよう

リモート保守機器のポテンシャルを最大限に引き出すには、運用体制の見直しが欠かせません。人的リソースの配置、業務プロセスの標準化、外部リソースの活用など、多角的なアプローチにより保守運用を最適化することが重要です。アラート対応に追われる状況を脱却し、予防保全や付加価値提案に注力できる環境を整えることで、競争力のある保守サービスを継続的に提供できます。

リモートメンテナンスは、顧客との関係強化や継続的な収益を生み出すリテンション施策としても有効です。効率的な運用体制を構築し、顧客満足度の向上と保守部門の業務改革を同時に実現しましょう。

リモートメンテナンスのアウトソーシングはJBサービスへ

リモートメンテナンスのアウトソーシングは、単なる業務代行にとどまらず、企業の課題解決や企業価値向上の有効な手段になります。

JBサービスでは、あらゆる機器のメンテナンス代行サービスをご提供しています。IT分野で培った豊富な実績とノウハウを活かし、24時間365日体制のヘルプデスク運営、リモート監視、全国ネットワークを活用した現地派遣手配まで、一貫したサービスを提供し、お客様の課題解決をサポートいたします。

現在リモート保守の運用に悩んでいる企業様、これから導入したいと検討している企業様は、JBサービスまでお問い合わせください。

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