自社開発ツールで作業時間30%削減＆作業品質向上を実現！　～キッティング自動化への取り組み～

（右から） JBサービス株式会社 サービス事業部　東日本カスタマサービス本部　ソリューションセンター 部長　　　　　　　堀　　一智 LCM１課　　　　　鳥井　郁洋 展開推進課　課長　蒲池　直樹

PCやタブレット端末などのキッティング作業の課題とは？

------　豊洲ソリューションセンターで提供しているサービスと現在の担当業務について教えてください。

鳥井氏：ＪＢサービスの豊洲ソリューションセンターは、お客様のIT資産のキッティング、全国への導入展開、予備機の在庫管理やセンドバック修理、リース返却、廃棄時のデータ消去にいたるまでライフサイクル全般をご支援するサービスを提供している施設です。PCやネットワーク機器などのIT製品はもちろんのこと、最近は店舗などで使用する業務用の機器や特殊な機械なども幅広く手掛けています。

私が担当しているのは、主にPCやタブレット端末などの大量導入展開時のキッティング作業になります。

------　キッティング作業とはどのようなことをするのですか？

鳥井氏：キッティングとは、エンドユーザー様が業務をすぐに開始できるように、PCやスマートフォンなどのデバイスに各種設定やソフトウェアのインストールなどを事前に行う作業全般のことを言います。

具体的には、メーカーから納品された機器の開梱、通電確認、周辺機器の接続、BIOSのセットアップ、OSのインストールと初期設定、ネットワークの設定、業務アプリケーションのインストールとライセンス認証やアップデートやパッチの適用、セキュリティの設定、更に管理ラベルの貼付と台帳への記帳などで、非常に多岐にわたります。

------　キッティング作業の課題と今回の自動化の取り組みの背景について教えてください。

鳥井氏：実際にキッティング作業を経験されたことのある方はお分かりだと思いますが、作業中はアプリケーションインストールやそのあとの再起動など、数十秒から数分程度の短い待機時間が頻繁に発生します。1台であればわずかな時間ですが、この時間が積み重なるとかなり無駄な待機時間が発生してしまいます。近年モバイルやテレワークの普及、また学校の教育用端末の需要などにより、ご依頼いただく案件は、数百台から数千台と膨大な台数になります。新入社員が入社する時期や、Windows OSのサポート終了に伴う数年に一度の買い替え時期などの繁忙期は、大型の案件を複数並行して行うため、この時間をなんとかしなければ、お客様のご希望の納期に間に合わなくなってしまいます。

また、細かい設定作業を人が手作業で行うと、どうしても人為的なミスが発生する可能性があるため、それを防ぐために作業者とは別の人間が、複数回チェック作業を行う工数も発生します。

作業効率や作業品質の低下は、お客様に大きな影響を及ぼしてしまうため、これらをいかに向上させるかということが大きな課題でした。

従来の自動化ツールの課題と解決策とは？

------　自動化はどのように実現したのですか？

鳥井氏：従来からシェルスクリプト（バッチ）はよく使っていましたが、エラー処理やツールの連携など複雑な処理には対応できないという課題がありました。また市販の自動化ツールなども何度か試しましたが、カスタマイズには専門的なプログラミングのスキルが必要になります。展開グループの中にはプログラミング経験者もおりますが、どうしても属人化してしまうので、大規模な案件にしか適用することができず、キッティング作業全体の改善には至りませんでした。

そこで、これらをなんとか解決しようと、新たなキッティングの自動化手法を模索して、自社開発の活動に取り組み始めました。

------　自社開発したツールの特徴を教えてください。

鳥井氏：こちらが開発した「KitBot」という新キッティングツールです。

まず1つ目の特徴としては、従来のツールと異なり、「プログラム未経験者でも、簡単に利用・カスタマイズが行える」ということです。

一連の作業をプログラミングするのではなく、複数の機能をモジュール化することにより、必要なモジュールを呼び出すだけで自動化シナリオを構築することができるため、未経験者でも1時間ほどのレクチャーで使用可能です。

構築が容易になったことで、小中規模、短納期の案件にも柔軟に適用することができます。

当然、予めモジュール化登録された処理にしか行えないので、完全自動化というわけにはいきませんが、これだけでも従来の作業手順の7割程度は自動化することが可能なため、十分な効果が得られます。

2つ目は、Windowsの標準機能のみで動作可能という点です。一般的なRPAは専用ソフトをPCにインストールする必要がありますが、キッティングの対象はお客様の資産のため、お客様の許可なくインストールすることはできません。そこで今回は従来のシェルスクリプトの上位互換であるPowerShellを利用することで、より複雑で高度な自動化を実現することができました。

------　開発の手法等で重要視したポイントなどはありますか？

鳥井氏：機能ごとに実装とテストを繰り返して開発を進めるアジェイル方式を採用したことですね。

モジュールを開発したら、実際に展開作業を行っているメンバーにすぐに使ってもらい、フィードバックをもらいながら、次期機能の開発・改善を行うことで、本当に自分たちが使い易いものを作りあげることができ、それを早く現場に浸透させることが

できたと考えています。

自動化ツールの導入効果について

------　実際に「KitBot」を利用した効果はいかがですか？

自社グループの1,500台PC展開において自社開発ツール「KitBot」を導入しました。

この取り組みにより、1台あたりのPC展開時間が驚くべき平均1時間削減され、50%以上の生産性向上が実現できました。

「KitBot」は迅速かつ正確なキッティングを可能にし、優れた機能によってヒューマンエラーを最小限に抑えることができます。その結果、再作業やミスマッチなどの問題が大幅に減少し、品質の向上にもつながりました。

こちらが実際に「KitBot」を利用したキッティング実績になります。

さらにお客様実績として、3つの案件について合計2,350台のキッティング作業に「KitBot」を適用しました。その結果、1台当たりの作業時間を平均30%削減することに成功し、一日に約50台の生産が可能となりました。

作業ミスももちろん0件です。750台のキッティングのご依頼をいただいたB社様は、PCのリース返却期限が迫っているとのことで、かなりに短納期での作業が求められましたが、「KitBot」の活用により、希望どおりの納品することができ、お客様からは感謝のお言葉をいただきました。

実際に作業を行ったメンバーからも、自動化により複数台同時作業も効率よくミスなく行うことができ、期待以上の効果が出ている、今後も使い続けたいという前向きな意見がでています。

AutoPilotと「KitBot」について

------　AutoPilotは大量展開に向いていると言われていますが、実際にどの程度の規模の展開が可能ですか？また、「KitBot」と組み合わせて使用することもできますか？

今後の展望について

------　今後の取り組みやサービスの展望についてお聞かせください。

堀氏：現在は11の機能をリリース済みですが、今後は自動化の対象の拡大に取り組んでいく予定です。 現バージョンはPowerShellのコマンドラインをベースに作成していますので、どうしても設定できない項目などがあります。今後はC++なども活用し、画像認識やOCRの技術なども取り入れ、更に高度な自動化を進めていきたいと考えています。 今後もお客様のさまざまなニーズにお応えできるように、自動化による作業品質の改善、効率化に取り組んでいきますので、人手不足や作業コスト削減など、デバイス導入に課題をお持ちのお客様は、ぜひＪＢサービスにお任せください。

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弊社のキッティングセンター内にお客様のIT機器類をお預かりして、ソフトウェアの導入や各種設定などを代行、個別設定や資産管理シールの添付などを行い、ご指定の場所に納品いたします。JBサービス株式会社は、企業の情報セキュリティ対策や最適なIT運用のためのご支援・ソリューションをご提供いたします。

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