

お客様:Lien Trade株式会社
事業内容:貿易、国際物流、ロボット販売、架電商品の卸販売、多用途ロボットを活用し、人手不足の課題を解決するソリューションの提供。
会社HP:https://www.lientrade.co.jp/
ご協力:Lien Trade株式会社 代表取締役 高野 亮亮 様
人手不足や災害対応を背景に、企業版ふるさと納税を活用したロボット導入が地方自治体で加速しています。搬送や案内などの業務を担うAIロボットは、住民対応の質を高めるとともに、現場の生産性向上にも寄与しています。ロボットの開発・販売を行うLien Trade株式会社様は、NEC(日本電気株式会社)や大塚商会(株式会社大塚商会)と連携し、中国製AIロボットを日本市場向けに最適化し多くの自治体や企業に導入を進めてきました。本記事では、代表取締役の高野亮亮様に自治体における導入の実態と運用・保守に求められる価値についてお伺いしました。
労働力の制約を打破!人手不足と災害対応を支えるAIロボット導入の鍵は「日本仕様」への開発と信頼性
──人手不足が深刻化する中、配膳や清掃などの現場でロボットによる省力化が進んでいます。Lien Trade様はどのような経緯でロボット事業を始めたのでしょうか。
高野氏:きっかけはコロナ禍で需要が高まった「消毒用ロボット」でした。パンデミックの初期、日本ではマスクや手袋などの衛生用品が不足していましたが、当社は中国企業との取引基盤があったため、専門業者向けの衛生商品を大量に確保できたのです。日本の要望に応じて様々な物資を緊急輸入した中に、消毒用ロボットが含まれていました。
ただし、中国製ロボットをそのまま日本に導入するにはセキュリティ面で課題がありました。そこでNECと連携し、日本市場向けの二次開発を行いました。具体的には、ソフトウェアを日本仕様に改修し、データ管理用サーバーを国内に移行するなど、安心して導入できる環境を整備しました。こうした取り組みを経て、現在は搬送や案内に対応する汎用型ロボットへとビジネスを拡大しています。
中でも主力製品であるAI配達ロボット「Mars」は、自律走行機能を備え、複数台が協調して効率的に稼働します。レストランやホテル、オフィス、工場などで料理や部品を運搬し、AIセンサーとRGBDカメラによる360度認識で障害物を避けながらスムーズに走行します。
──中国製ロボットを短期間で日本仕様にできた背景には、どのような強みがあったのでしょうか。
高野氏:以前、NECの品質管理部門とともに中国で生産管理に携わっていた経験があります。その知見とネットワークを生かし、NECの技術支援を受けながら日本市場での展開が可能になりました。その流れでNECから大塚商会を紹介いただき、現在の協業体制につながっています。

人手不足と災害対応を支えるAIロボット現場のニーズに合わせて機能を拡張
──大塚商会との出会いが、ビジネスの拡大にどのようにつながったのでしょうか。
高野氏:大塚商会は「企業版ふるさと納税」を活用して複数の自治体に寄付を行い、地方創生事業を支援しています。その取り組みが評価され、内閣府から「地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)に係る大臣表彰」を受けた実績もあります。自治体が寄付金を活用して事業を実施する際に、当社のロボットを選んでいただく機会が増えました。昨年は全国で約30台、うち石川県輪島市だけでも10台ほどのAIロボット「Mars」を納品しています。市役所や図書館、幼稚園、病院、道の駅など、幅広い施設で活用されています。
──自治体がロボット導入を進める主な理由は何でしょうか。
高野氏:やはり人手不足と災害対応です。災害時、ロボットは避難所で物資を運んだり、避難者に情報を伝えたりと重要な役割を担います。人が入れない危険な場所で活動することもあり、単なる労働力補完ではなく、住民の安全を支える存在です。被災した子どもや高齢者に寄り添い、動画でメッセージや情報を届けることで、安心感や勇気を与えることもできます。
──導入後、どのような変化が見られましたか。
高野氏:和歌山県串本町のトルコ記念館では、Marsが最初は配膳用として稼働していましたが、現場の要望に応じて機能を拡張しました。「到着時に案内をしてほしい」「観光客に説明してほしい」といったリクエストに対応し、音声や映像でのガイド機能を追加しています。病院では入院案内や安全啓発、子ども向け動画の再生など、利用シーンは多様です。避難所でも受付案内や防災情報の提示、地震時の行動指針をアニメーションで伝えるなど、幅広い活用が進んでいます。
──現場の声に合わせて機能を進化させることで、活躍の幅がさらに広がっていますね。
高野氏:はい。Marsはもともと配膳ロボットとして開発されましたが、自治体や利用者の要望を反映しながら、今では地域の多様な課題を支える「共助型ロボット」へと進化しています。また、災害時と平時ともにロボットに活用してもらえる環境を整えることで、有事の際にすぐに自治体職員が使い方もわかり、災害用に使うことができるメリットもあります。

全国をカバーするサポート体制は魅力自治体にも安心して販売可能に
高野氏:ロボットは必ず保守サービスとセットで提供しなければなりません。特に自治体のお客様はサポート品質を非常に重視されます。当社は2024年12月にJBサービスと保守契約を締結しましたが、打ち合わせの段階から要望を丁寧に聞き取ってもらい、導入後も大変満足しています。機械である以上、故障やトラブルは避けられませんが、JBサービスの対応力によって安心して販売できる体制が整いました。JBサービスの参画をきっかけに、大塚商会との取扱い拡大も前向きに進んでいます。
──他社の保守会社とも比較されたと伺いました。JBサービスを選んでよかった点を教えていただけますか?
高野氏:はい。保守会社がどこまで柔軟に対応してくれるかは、実際に依頼してみなければ分かりません。ある大手保守会社に修理を依頼した際、マニュアルに該当事例がないという理由で一切対応してもらえなかったことがありました。その点、JBサービスの技術者は現場で最善を尽くし、マニュアルと完全に一致しなくても稼働を復旧してくれます。対応も早く、技術者の学習意欲が高い点にも信頼を寄せています。
JBサービスは、何か起きればリモート対応し、必要があれば現地まで駆けつけてくれる。しかも全国対応なので、自治体のお客様も非常に安心されています。価格も良心的で、コストパフォーマンスが高いと感じます。

技術と知見を共有しながら顧客とともに課題を解決するパートナーへ
高野氏:開発元が中国にあるため、言語の壁は常に課題です。私たちが日本と中国の間に立ち、JBサービスとの連携を密にしながら、よりスムーズなサポート体制を築いていきたいと考えています。

サービス事業部 東日本第二サービス本部 第一サービス部
部長 山崎 勉
JBサービスは全国に保守拠点を持ち、現地訪問による修理・点検に加えて、コールセンター対応からオンサイト作業までをワンストップで提供しています。修理履歴をデータで蓄積・分析し、製品改善につながるフィードバックも行っています。
ロボットがエラーで停止した場合は、リモートでシステムにアクセスしてエラーを解除し、初期化まで対応することも可能です。人員やリソースの規模では大手に及ばない部分もありますが、臨機応変な対応力とサービス品質で勝負しています。
特にNON-IT(※IT以外のさまざまな機器)分野では、マニュアルが整っていない新しい製品も多く、他社が敬遠する案件にこそ積極的に取り組みます。お客様とともに保守体制を構築しながら成長していく――その姿勢が私たちの最大の強みです。
Marsは非常に安定した製品のため、現地での修理件数は多くありません。だからこそ、半年に一度の定期研修でスキルを振り返り、実践力を保つようにしています。NON-IT分野を担当するメンバーの意識は高く、自主的に知識を深めてくれている点は、マネージャーとして頼もしく感じています。
また、海外製品を日本市場で展開したいという相談は、年々増えています。日本での展開には、マニュアルの日本語化や保守体制の整備など、丁寧な準備が欠かせません。部品の手配が難しい場合でも、現場の調整で何とか稼働を維持する、そんな柔軟な対応を心がけています。
私たちは単なる保守の請負業者ではなく、技術とノウハウを共有しながら、お客様とともに課題を乗り越えていく存在でありたい。これからも、多様な業界・業種のパートナーとして、持続可能な運用を支えていきます。
JBサービスでは、ロボットの活用・普及に貢献するために、ロボットのメンテナンス代行サービスを提供しています。障害受付コールセンター、定期点検などをメーカー様やSier様に代わって実施いたします。ロボットを活用した新たなビジネス展開をご検討されているお客様は、ぜひJBサービスまでお気軽にお問い合わせください。