業務時間外の電話対応は違法?サービス残業に該当するケースと企業が取るべき対策

更新日 : 2025年05月02日

サービス残業

業務時間外・営業時間外の電話対応は、多くの企業で常態化しています。「周りもやっているから」「業務量が多すぎるから」などの理由により、気付けばサービス残業になっているケースもあるでしょう。どこからがサービス残業になるのかという線引きが曖昧になっていると、たとえ従業員の自主的な残業でも法律に違反している可能性があります。

今回の記事では、サービス残業に該当するケースと、企業が取るべき対策について詳しく解説します。

業務時間外の電話対応が常態化している現場の実情

顧客ニーズが多様化している昨今、企業に対して夜間や休日の対応も求められるケースが増えています。特に製品のトラブルやシステム障害、サービスに関する問い合わせなど緊急性が高いものは、丁寧かつ迅速に対応しなければ顧客満足度や企業への信頼度に関わります。逆に、夜間・休日問わず電話対応している企業は、「この企業は時間外でも対応してくれた」「迅速な対応のおかげでトラブルを最小限に抑えられた」という顧客からの評価を得られます。このような「顧客ファースト」や「競争力強化」という思いから、業務時間外でも対応せざるを得ない環境が常態化していると考えられるでしょう。

業務時間外の電話対応は違法?サービス残業になるケースとは

残業時間

業務時間外に電話対応を行うことは、果たして違法になるのでしょうか。ここでは、サービス残業の定義とともに、サービス残業に該当するケース・該当しないケースについて解説します。

サービス残業とは?

サービス残業とは、企業が残業時間に対する賃金を支払わずに、時間外労働や休日労働をさせることです。労働基準法第37条では、法定労働時間(一日につき8時間、一週間につき40時間)を超える場合に、2割5分以上の割増賃金を支払うことが義務付けられています。これに違反した場合は、企業に対して6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金という刑事罰が科されます。企業側が労働者へ残業を強要している他、「他の従業員も残業しているから」「業務量が多すぎて勤務時間内に終わらないから」と従業員が自主的に行っていても、サービス残業とみなされるため注意が必要です。

慢性的なサービス残業が続いている場合、従業員の健康被害や未払い残業代の請求、企業イメージの低下といった多大なリスクを伴うため、企業としてはサービス残業をなくすため早急の対策が求められます。

サービス残業に該当するケース

サービス残業に該当するケースとしては、以下のような場合が当てはまります。もし一つでも思い当たることがあれば、サービス残業に該当する可能性があるでしょう。

  • 出退勤のごまかし
  • 残業時間の無申告、もしくは過小申告
  • 始業前の業務
  • 名ばかり管理職(管理職の権限や報酬がないにもかかわらず、管理職のために残業代が支給されない状態)
  • 賃金が発生しない研修会や勉強会への強制参加
  • 時間外の打ち合わせ
  • 仕事の持ち帰り
  • 仕事帰りや休日の作業
  • 定時で帰りづらい雰囲気がある結果の自主的なサービス残業
  • 会社側のサービス残業の黙認
  • 能力不足を理由としたサービス残業の強要

サービス残業に該当しないケース

会社や上司から指示を受けて強制的に残業させられている場合、サービス残業に該当する可能性があります。ただし、以下の場合においてはサービス残業には該当しません。

  • 管理監督者に該当する場合
  • 裁量労働制が導入されている場合
  • 高度プロフェッショナル制度が導入されている場合
  • 変形労働時間制が導入されている場合
  • みなし残業代制度(固定残業代が賃金に含まれている)の範囲内の業務

サービス残業が企業にもたらすリスク

サービス残業は、会社と従業員にさまざまなリスクをもたらします。

会社へのリスク

サービス残業が会社へもたらす最大のリスクは、労働基準法違反による罰則が科されることです。残業代未払いが発覚すると、労働基準監督署からの指導を受けたり、最大3年間の未払い分を支払ったりする必要があります。また、厚生労働省は労働基準法違反により書類送検した企業名について、ホームページで公表するとしています。これにより、ブランドイメージの低下や企業の信用問題に悪影響を及ぼし、金銭的損失と人材流出につながる可能性があるでしょう。

従業員へのリスク

サービス残業が常態化している場合、従業員にとって仕事とプライベートの区別がつかなくなっていきます。特に電話対応の場合、いつ電話が鳴るか分からない中で待機中も気を張っておかなければなりません。常に仕事と向き合う状態が続いているとストレスが溜まっていき、業務効率の低下や心身の不調へとつながるリスクがあります。

企業が取るべき対策:サービス残業をなくし、品質も守るには

電話対応する女性スタッフ

業務時間外の電話対応について、品質を守りつつサービス残業をなくすために、企業として取るべき対策をご紹介します。

業務時間外の対応フローの見直し・明文化

サービス残業をなくすためには、従業員全員へ業務時間外の電話対応についてのルールを周知することが必要です。明確なルールがないと、「なんとなく対応する」という風土が常態化してしまいます。業務時間外の対応フローや緊急時の連絡、対応が不要なケースなど、ルールをはっきりさせることで個人の判断に委ねず、サービス残業を防止することが可能です。

例として、「夜間や休日の電話には折り返さず、休み明けに対応する」「休日に電話対応をした場合、休日出勤扱いになる」といった具体的なルールの明文化ができると良いでしょう。

FAQの整備・セルフサービスの推進

FAQの整備やセルフサービスの推進は、日常の業務効率を大きく向上させるのに役立ちます。顧客からよく聞かれる質問や、発生しやすい問題については定期的に見直し、FAQでまとめておくことがポイントです。担当者に頼らず、顧客がWeb上で自己完結できるように整備しておくと問い合わせが減少し、対応時間の短縮につながります。

コールセンター代行サービスやチャットボットなど外部リソースの活用

コールセンター代行サービスやチャットボットなど、外部リソースを活用することも一つの方法です。特に人手不足による課題を抱えている場合、これらのサービスを活用することで社内の負担を軽減できるでしょう。コールセンター代行サービスやチャットボットは24時間対応が可能なため、品質やスピード感を落とさずに従業員のサービス残業をなくすことができます。

夜間や休日でもできるだけ人が対応したいという場合は、コールセンター代行サービスの活用がおすすめです。

コールセンター受付代行サービス導入企業の改善例

A社へJBサービスのコールセンター受付代行サービスを導入した事例をご紹介します。

対応フロー例 ①営業時間外受付(例:アプリケーショントラブル一次対応+エスカレーション) 

A社は、夜間・土日の営業時間外も従業員がオフィスに待機して障害発生時の電話対応を行っていましたが、働き方改革のため残業勤務廃止となりました。その後はボイスメールを聞いた管理者が自宅で営業担当者へエスカレーションし、委託保守会社に依頼するフローとなり、管理者・営業担当者のサービス残業が慢性化している状況でした。

コールセンター受付代行サービスを導入したことで、24時間365日のスムーズな対応を実現できました。担当者を介さずスムーズに委託保守業者を手配することで、障害への対応時間を短縮しつつ、営業時間外の業務負担削減が可能となりました。

まとめ:業務時間外の電話対応はJBサービスへご相談ください

業務時間外・営業時間外の対応をアウトソーシングすることで、高品質な一次対応を維持して顧客満足度向上を実現できます。働き方の多様化や人員リソースの見直しに伴い、夜間・休日対応を控える企業様も増えつつある一方、人が対応することの価値を改めて重視される企業様もいらっしゃいます。JBサービスでは、どちらのご方針にも対応した最適な形でのご支援が可能です。

JBサービスでは、24時間365日体制のコールセンター受付代行サービスを提供しており、問い合わせ対応や障害対応、カスタマーサポートを代行しています。業務時間外の電話対応をアウトソーシングし、従業員のサービス残業を防止したいとお考えのお客様は、ぜひJBサービスまでお気軽にご相談ください。

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