第1回 ITIL®4の資格体系
更新日 : 2022年03月10日
2019年2月にFoundationの英語版書籍が、2019年12月に日本語版書籍が発売されたITIL®4。
今回はみなさんが一番気になる資格体系と試験についてお伝えします。
ITIL®4
まず、ITIL®4はITIL®V3のように"V"が付かなくなりました。読み方は「アイティル フォー」です。従来、ITIL®はInformation Technology Infrastructure Libraryの略でしたが、ITIL®4からは、ただ「ITIL®」と言うようになりました。
この"4"は「Industry 4.0」とかけているとか、いないとか・・・
ITIL®4の資格体系
下記がITIL®4の資格体系です。
ITIL® Foundation
Foundation資格は従来通り、ITIL®4の初級レベルの資格で、ITIL®への入口となります。主要なコンセプトや要素、用語の概要レベルの内容となります。プロセスが多く取り上げられていたITIL®V3に比べると、あるべき姿をメインとしているためか、抽象的・哲学的な印象を受けます。
学ぶべき新しいコンセプトが多いため、ITIL® V3資格からの資格移行試験(ブリッジ試験)は用意されておらず、有資格者も新規で受験する必要があります。
上位資格
上位資格はITIL®4 Foundation資格を保有していないと受けられません。従来通り、認定講習会の受講が義務付けられており、受験だけできる試験機関はありません。
2種類のストリームがあり、双方の認証を受けると、最上位資格・ITIL® Masterの受験条件が得られます。
- Managing Professional(MP): マネジメント系を主とする4つのモジュール合格で認証
- Strategic Leader(SL): ストラテジ系を主とする2つのモジュール合格で認証
Managing Professional(ITIL® Specialist + ITIL® Strategist)
前述、資格体系図の左側、Managing Professional(以下、MP)は4種類のモジュールで構成されており、英語版の書籍が発売されています。
Create, Deliver & Support(CDS)、Drive Stakeholder Value(DSV)、High Velocity IT(HVIT)の内、1つ合格すると ITIL® Specialistと呼ばれます。
この3つの試験合格に加え、ITIL® Strategistの対象となる、Direct, Plan & Improve(以下、DPI)に合格すると、MP資格となります。
MPへはITIL® Expert(V3)からのブリッジ(移行)コース※が用意されています。このブリッジコースにはITIL®4 Foundationの内容も含まれているため、ITIL® Expert資格をお持ちの方は、ITIL®4 Foundationを受験しなくても、MP資格が取得できます。
Strategic Leader(ITIL® Strategist + ITIL® Leader)
前述、資格体系図の右側、Strategic Leader(以下、SL)はMPと共通のDPIとITIL® Leader対象となるDigital& IT Strategy(以下、DITS)、2つの試験合格で、SL資格となります。
(MPをお持ちの方はDITSの試験合格で、SLが取得できます。)
このDITSはデジタルビジネス戦略とIT戦略の整合性に焦点をあてており、受験には最低3年のIT管理経験が必要とされています。また、2020年9月現在、英語版の書籍も発売されていませんが、ヨーロッパの教育機関では英語版の講習会が開催されていますので、日本にもまもなくやって来ると思われます。
ITIL® Master
ITIL®V3同様、実名記載のプロジェクトを含む、英語の業務経歴書や英語でのインタビューなどが予定されているようですが、まだ情報が無い状態です。
遂に出揃うITIL®4、次回は概要についてお伝えします。 >>> 第2回 ITIL®4の概要 はこちら
※ Managing Professional(MP)ブリッジはITIL® Expert(V3)または17クレジット取得(MALC未取得)が対象となります。
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