イノベーションを生み出すためのデザイン思考とは

更新日 : 2020年09月28日

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デザイン思考(Design Thinking)という言葉をご存じですか?

聞いたことはあっても、正しく理解できるている人は少ないかもしれません。「デザイン」という単語からグラフィックデザイナーやファッションデザイナーなどのように、「美しい見た目をつくること」のようなイメージを持たれがちですが、Design/デザインという言葉は「設計」と訳すことができ、課題解決の手段として、実は経営やマーケティングなど、あらゆるビジネスシーンにで応用され、全てのビジネスマンに必要なアプローチ方法です。

デザイン思考(Design Thinking)とは?

デザイン思考とは、アメリカのカリフォルニア州に本拠を置く、世界的デザインコンサルティング会社IDEOが提唱する製品開発メソッドで、従来のような技術的な課題解決ではなく、人間を中心に、ビジネステクノロジーの3つの要素を統合的に見ていくところに特徴があります。

まずは人間(ユーザー)を観察してニーズを把握するところからスタートし、課題を設定して、人間中心のアイディアを生み出していき、新しい製品やサービスを生み出し課題解決につなげていくというものです。イノベーションはこれらが重なる部分で起こるとされています。実際にAppleのi-Phoneをはじめ、様々なイノベーションの背景にはデザイン思考が存在しています。

なぜ今デザイン思考なのか?:VUCA時代の有効なアプローチ

なぜ、デザイン思考がビジネスで注目されるようになったのでしょうか?それは、社会環境の大きな変化により、これまでの常識が通用しなくなったことが一番の理由になります。

現代は「VUCAな時代」と言われています。VUCA(ブーカ)とは、Volatility(変動)、Uncertainty(不確実)、Complexity(複雑)、Ambiguity(曖昧)の頭文字をとった言葉で、少子高齢化による人口構造の変化や、グローバル化、エネルギー不足、AIの急速な進化、さらに新型コロナウィルスや台風などの疫病・災害など、社会環境が大きく変化し、混沌とした世の中を表しています。

人々の嗜好や価値観も多様化、複雑化し、従来の知識や経験、成功モデルが適用できない昨今において、企業はイノベーションによる製品やサービス開発、新たな価値の創造が求められており、その手法としてデザイン思考が注目されています。

デザイン思考の5つのプロセス

デザイン思考には、具体的に以下の5つのプロセスが必要となります。

1.共感(Empathize)
ターゲット、ユーザーを決定し、何を求め考えているか観察・共感し、ニーズを探る

2.問題定義(Define)
ユーザー視点で具体的なニーズを定義する

3.創造(Ideate)
定義された問題に対して自由に意見交換として、具体的にどうアプローチするかを考える

4.プロトタイプ(Prototype)
選んだアイディアを元に試作品を早いスピードでつくり、機能性・効果・実現性について検討する

5.テスト(Test)
試作品をユーザーに実際に使ってもらい、フィードバックを受けて改善していく

実際には創造、試作、テストのプロセスを何度も繰り返し行います。そうすることで解決策を洗練させることができ、イノベーションへとつながっていきます。

デザイン思考がビジネスにもたらすメリット

マーケティングにおける有名な言葉の一つに「ドリルを買う人が欲しいのは『穴』である」という格言があります 。私たちは顧客志向ではなく、製品志向で考え、ドリルを買いに来たお客様には、ドリルの性能を説明してしまいがちですが、顧客が本当に求めているのは、商品そのものではなく、商品の使用やサービスによって生まれる問題解決である」 ということです。

デザイン思考はこれをもっと掘り下げて考えたものと言えます。顧客はなぜ穴を開けたいと思ったのか?、顧客がその要望に至った背景は何なのか?ニーズを徹底的に探っていくと、本当に欲しかったものは穴ではなく、壁に額に入った家族の写真を飾りたかったのかもしれません。そうであれば穴を開けずに済む強力な接着剤や粘着テープを提案した方が、顧客にとってよりよい解決策かもしれないのです。

この格言は半世紀以上前のものですが、今はデジタル革命の時代です。単なる問題解決のSustainable Innovation(持続的イノベーション)ではなく、先進テクノロジーを踏まえた上で問題の本質を発見し、モノではなく、コトを提供するソリューションを実現するDisruptive Innovation(破壊的イノベーション)がビジネスに必要とされています。

デジタル技術を使えば、写真を壁に飾る粘着テープではなく、プロジェクターで写真や動画を好きな時に壁に投影して家族で楽しめるプライベートシアターなどのアイディアが生まれてくるのです。

このように、デザイン思考では、顕在化している問題に対し、すぐに出来そうな解決策に飛びつくのではなく、ユーザーの抱える真の課題は何かと言うことを基軸に考えるため、問題を解決する本質的なアイディアを生み出しやすくなります。

また、商品化する前に試作をつくり、検証を繰り返すことで、最終的に成功確度の高いアイデアを生み出すことができるのです。

日本におけるデザイン思考

デザインの思考を取り入れた経営は、欧米の企業が先行していましたが、2018年5月に経済産業省と特許庁は、「デザイン経営宣言」という文書を連名で発表し、日本企業の経営に「デザインの視点や思考を取り入れ、新たなイノベーションを生み出す力・国際競争力を高めよう」という考え方が表されました。

さらに、2020年3月、特許庁はデザイン経営についてビジネスパーソンに気付きを得てもらうための「デザイン経営ハンドブック 」と、デザイン経営に取り組んでいる企業の事例を紹介する「デザイン経営の課題と解決事例 」を発表しました。これらは、これからデザイン経営にチャレンジしたいと考える人の疑問を解消し、実践するための参考となる情報が取りまとめられています。

まとめ

今回は、デザイン思考についてご紹介しました。

ぜひ皆さまの会社でもデザイン思考の考え方を取り入れてみてはいかがでしょうか?

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