
「ヘルプデスクを立ち上げたいが、コールセンターと何が違うのか分からない」「既存のコールセンターにヘルプデスク機能を追加すべきか迷っている」―このような疑問を持つご担当者様は多いのではないでしょうか。
ヘルプデスクとコールセンターは、どちらも問い合わせ対応を行う組織ですが、目的・対応範囲・必要なスキルは大きく異なります。この違いを正しく理解せずに体制を構築してしまうと、対応品質の低下や人材ミスマッチ、コスト超過といったリスクが生じます。
本記事では、ヘルプデスクとコールセンターの違いを「目的」「業務内容」「求められるスキル」「選び方」の4つの軸で徹底解説します。どちらを導入すべきか迷っている方に向けた選択チェックリストも掲載していますので、ぜひ参考にしてください。
1. ヘルプデスクとコールセンターの基本的な定義
ヘルプデスクとコールセンターの違いは、「技術的な問題解決を担う専門窓口であるか」「顧客接点として営業機能も持つ組織であるか」という点にあります。まずは、それぞれの基本的な定義から確認していきましょう。
ヘルプデスクとは
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ヘルプデスクとは、主にITシステムや社内外の製品・サービスに関する問い合わせやトラブルを受け付け、解決に導く専門窓口です。問い合わせ元は社内の従業員(社内ヘルプデスク)と社外の顧客(社外ヘルプデスク)の2種類があります。 最大の特徴は、「ITトラブルなどを技術的に解決する」という専門性にあります。製品情報やパソコン、スマートフォンでの操作トラブル、ソフトウェアやアプリケーションのエラー、ネットワーク障害など、一定のIT知識が必要な問い合わせが主となります。 |
社内ヘルプデスクと社外ヘルプデスクの違い
社内ヘルプデスク:自社の従業員が対象。ITシステム障害、社内ツールの操作方法、PC設定などを担当。情報システム部門に設置されることが多い。
社外ヘルプデスク:顧客が対象。自社製品やサービスに関する技術的な問い合わせ・クレーム対応を担当。コールセンターと兼務するケースもある。
コールセンターとは
コールセンターとは、電話を主なチャネルとして顧客対応を行う組織です。顧客からの受信に対応する「インバウンド業務」と、企業から顧客へ発信する「アウトバウンド業務」の2種類があり、ヘルプデスクとは異なり、営業・販促活動などの役割も含む点が大きな特徴です。
インバウンド業務には製品の問い合わせ対応・クレーム処理・受注処理などが含まれ、アウトバウンド業務にはテレアポや顧客満足度調査、既存顧客へのキャンペーン案内などが含まれます。
2. ヘルプデスクとコールセンターの5つの違い
ヘルプデスクとコールセンターの違いについて、比較表でまとめてみました。
| 比較項目 | ヘルプデスク | コールセンター |
|---|---|---|
| 対応範囲 | 社内外の問い合わせに対応(社内・社外ヘルプデスク) | 社外の顧客のみを対象 |
| 主な目的 | ITや製品に関するトラブルの解決・技術サポート | 顧客対応・受注・テレマーケティング |
| 業務形態 | インバウンドが多い(受信対応) | インバウンド(受信)+アウトバウンド(発信) |
| 求められる知識 | IT・システムの専門知識が必須 | 製品知識+コミュニケーション力が中心 |
| KPI指標 | 一次解決率・顧客満足度など | 受電率・通話時間・コンバージョン率など |
| 対応チャネル | 電話・メール・チャット・現地訪問 | 電話が中心(近年はチャット・SNSも拡大) |
| AI活用領域 | チャットボット・FAQ自動化・AIを活用したトラブル診断 | ボイスボット・テレアポ自動化・応対分析AI |
違い1:対応範囲(社内対応の有無)
最も根本的な違いは、社内からの問い合わせに対応するかどうかです。ヘルプデスクは社内の従業員と社外の顧客の両方を対象とします。一方、コールセンターの多くは社外顧客向けが対象となります。
たとえば、社員の「PCが起動しない」「社内システムにログインできない」といった問い合わせはヘルプデスクが受け付けますが、コールセンターのオペレーターがこうした問い合わせを受けることはあまりありません。
違い2:目的(課題解決 vs 顧客接点)
ヘルプデスクの最大の目的は「問題の解決」として設定されている場合が多いです。問い合わせが来たら原因を分析し、解決策を提示することが求められます。成果指標(KPI)として「一次解決率」が重視されるのはこのためです。
コールセンターの目的は、顧客接点の維持や顧客満足度向上などが設定されている場合が多いです。KPIとしては「受電率」などが重視されます。また、コールセンターでは問い合わせ対応だけでなく、新規顧客の獲得や既存顧客のフォローアップなど、営業的な役割も担います。
違い3:業務形態(インバウンド中心 vs インバウンド+アウトバウンド)
ヘルプデスクは原則としてインバウンド業務が中心ですが、障害通知や影響確認などの発信業務を行うケースもあります。ただし、顧客に営業電話をかけることは基本的にありません。
コールセンターはインバウンドに加え、アウトバウンド(顧客へ発信する)業務も行います。この発信業務がコールセンターをより幅広いビジネス機能として位置付けています。
違い4:必要なスキル(IT専門性 vs コミュニケーション力)
ヘルプデスクのスタッフには、ITシステム・ネットワーク・セキュリティなどの技術的知識が不可欠です。問い合わせの内容が専門的であるため、技術的なトラブルシューティング能力が求められます。資格でいえばITILファンデーションやITパスポート、基本情報技術者試験などが参考になります。
コールセンターのスタッフには、多様な顧客に対応できるコミュニケーション能力と、製品・サービスに関する幅広い知識が求められます。電話応対技能検定などの資格もあり、応対スクリプトを活用することで比較的短期間で戦力化しやすい点もコールセンターの特徴です。
違い5:AI・DX活用の方向性
近年、両者ともにAIの活用が進んでいますが、活用領域はやや異なります。ヘルプデスクでは、チャットボットによるFAQの自動回答、AI診断ツールによるトラブル原因の特定、ナレッジ管理システムによる属人化防止などが進んでいます。
コールセンターでは、ボイスボットによる電話自動応答、音声解析AIによる応対品質管理、アウトバウンドの最適なコール時間の予測などが実用化されています。いずれも人手不足の解消と品質向上を同時に目指した取り組みです。
- 社内ヘルプデスクへのAI導入について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
- 【関連記事】社内ヘルプデスク業務をAIで効率化!ヘルプデスクの業務改善方法4選
3. 混同しやすい関連職種との違いも整理
ヘルプデスクやコールセンターと似た言葉がいくつか存在します。導入や設置を検討する際の参考に、主要な職種との違いも確認しておきましょう。
コンタクトセンターとの違い
コールセンターが「電話」を主なチャネルとするのに対し、コンタクトセンターは電話・メール・チャット・SNS・ビデオ通話など、複数のチャネルを統合して顧客対応を行う組織です。近年の顧客行動の多様化に対応するため、コールセンターがコンタクトセンターへと進化するケースが増えています。
テクニカルサポートとの違い
テクニカルサポートはヘルプデスクと似た性質を持ちますが、より高度な技術対応を担います。ヘルプデスクが電話やメールで解決策を案内するのに対し、テクニカルサポートは現地に赴いて直接対応したり、システムの根本的な改修まで担当したりすることがあります。
サービスデスクとの違い
ITサービス管理の文脈では、サービスデスクはヘルプデスクを包含するより広義な概念とされています。問い合わせ対応に加えて、新機能の情報提供・FAQの公開・問題の根本原因の排除(問題管理)まで担います。ITIL(ITサービス管理のベストプラクティス集)ではサービスデスクという言葉が標準用語として用いられています。
社内SEとの違い
社内SEはシステムの設計・開発・保守・運用を担うエンジニア職です。ヘルプデスクがユーザーからの問い合わせに対応する受動的なサポート役であるのに対し、社内SEはシステムそのものを能動的に構築・改善する役割を持ちます。ただし、中小企業では社内SEがヘルプデスクを兼務するケースも少なくありません。
4. ヘルプデスクとコールセンター、どちらを選ぶべきか
「ヘルプデスクとコールセンター、どちらを設置すれば良いか分からない」というご担当者様のために、用途別の選択基準を整理します。
選択チェックリスト
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ヘルプデスクが向いているケース
社内のITトラブル対応に人手が足りない
システム障害発生時の窓口を一本化したい
IT資産管理・セキュリティ対応を一元化したい
自社製品の導入後サポート体制を整えたい -
コールセンターが向いているケース
顧客への電話対応・受注処理を効率化したい
新規顧客へのアプローチ(テレアポ)を強化したい
既存顧客への満足度調査や情報提供を行いたい
マーケティング施策と連動した顧客接点を持ちたい
どちらも必要なケース
ヘルプデスクとコールセンターの両方が必要になる場合もあります。例えば、SaaS(クラウドサービス)を提供する企業では、既存顧客の操作サポートをヘルプデスクが担い、新規顧客獲得や解約防止をコールセンターが担うという分業体制が有効です。
その場合、両組織間の情報連携が重要になります。コールセンターで技術的な問い合わせを受けた際にヘルプデスクへスムーズにエスカレーションできる体制や、ヘルプデスクで得た顧客の課題情報をコールセンターのトーク改善に活かす仕組みが、全体的な顧客満足度の底上げにつながります。
判断に迷ったときの3つの質問
- Q1. 対応したい問い合わせに技術的な知識が必要か?→ YES → ヘルプデスクが適切
- Q2. 顧客への能動的な発信(テレアポ・フォローアップ)も必要か?→ YES → コールセンターが適切
- Q3. 社内の従業員向けにITサポートが必要か?→ YES → 社内ヘルプデスクの設置を優先検討
5. 設置・運用時に注意すべき3つのポイント
1.複数チャネルへの対応を前提に設計する
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顧客の問い合わせチャネルは電話だけではありません。チャット・メール・SNS・FAQによる自己解決など、複数の経路を想定した体制設計が求められます。特に若年層の顧客には「電話をかけずに解決したい」というニーズが強く、チャットボットやFAQページの充実が直接的な問い合わせ件数の削減につながります。 ただし、チャネルを増やすだけでは不十分です。各チャネルの品質を継続的に改善し、顧客がどのチャネルを使っても一貫した体験を得られることが重要です。 |
2.人材確保・育成戦略を事前に明確化する
ヘルプデスク・コールセンターともに、業界全体で人材不足と離職率の高さが課題となっています。体制を設計する際には「どこから人材を確保するか」「育成期間はどれくらいか」「離職が出た際の補充方法は何か」を事前に明確にしておくことが重要です。
自社での採用・育成が難しい場合は、専門会社へのアウトソーシングも有力な選択肢です。アウトソーシングには委託費用が発生するデメリットがある一方、即戦力の投入・品質管理の外部化・コア業務への集中というメリットがあります。
ヘルプデスクの運営、自社だけで抱え込まないという選択肢
「体制を整えたいが、人材確保の目処が立たない」「社内にノウハウがなく、どこから手をつければいいか分からない」――このような状況の場合は、ぜひアウトソーシングの活用を検討してみてください。
アウトソーシングを検討する際、「自社の業務がヘルプデスクにあたるのか、コールセンターにあたるのか分からない」と感じる方も少なくありません。その判断はJBサービス株式会社と一緒に整理しませんか。まずは現状の課題や対応したい業務内容をお伝えいただければ、最適な体制を一緒に考えさせていただきます。分類が曖昧なままでも大丈夫ですので、お気軽にお問い合わせください。
- アウトソーシングの具体的なメリットや委託先の選び方については、こちらの記事で詳しく解説しています。
- 【関連記事】社内ヘルプデスクのアウトソーシングは可能?メリットや委託先選定のポイント
3.ナレッジ管理で属人化を防ぐ
ヘルプデスクにおける最大の運用リスクの一つが「属人化」です。特定のスタッフしか解決できない問い合わせが増えると、そのスタッフが退職した際に品質が急落します。対策として、問い合わせ対応のナレッジをFAQやマニュアルとして継続的に蓄積・共有する仕組みが不可欠です。
ナレッジ管理にはCRMツールやチケット管理システムの活用が有効です。また、AIを活用した類似事例の自動サジェスト機能を持つツールを導入することで、新人スタッフでも高品質な対応が可能になります。
まとめ
ヘルプデスクとコールセンターの違いを改めて整理すると、以下の3点に集約されます。
- ヘルプデスクは「技術的な問題解決」が目的。社内外の問い合わせに対応し、IT専門知識が必要
- コールセンターは「顧客接点の維持・拡大」が目的。社外の顧客対応に特化し、営業活動も担う
- どちらが必要かは「解決すべき課題」によって異なるため、目的・対象・業務内容を整理したうえで体制を設計することが重要
自社の課題を整理し、最適な体制を構築することが、顧客満足度の向上と従業員の働きやすさの両立につながります。まずは本記事の比較表と選択チェックリストを参考に、自社に必要な機能を見極めることから始めてみてください。
JBサービス株式会社では、コールセンターサービス(0.5次・1.0次対応)にとどまらず、お客様とKPIを共有し、オペレーターのスキルや対象業務範囲を段階的に向上・拡大させ、常により付加価値の高いサービスの提供を目指しています。
シェアード型のヘルプデスクや、特定顧客向けの専任ヘルプデスクの体制構築にも柔軟な対応が可能です。また、エンドユーザー様の自己解決率を向上し受電件数を削減させるために、ユーザーマニュアルの改善や情報配信(FAQの公開など)、AIチャットボット活用のご支援も可能です。
ヘルプデスクの運用でお悩みがあれば、JBサービス株式会社までご相談ください。

