大規模テレワークにMicrosoft Teamsを導入!成功のポイントとは

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サービス:テレワーク導入支援サービス
※右から
JBCC株式会社 ITサービス事業 DX推進
事業部長(役員) 武田 雅大
DX開発部 担当(部長) 渡辺 淳一郎

今回のプロジェクトを担当された方の業務に関して

渡辺氏:現在私はJBCC株式会社のDX推進という、いわゆるIT企画、情報システム部門のようなところに所属しており、対象はJBグループの全事業会社、ユーザーは2,000名以上になります。DX推進の中には、企画部門とインフラ系部門、開発・運用に携わっている部門がありますが、私は開発・運用の方を担当させていただいております。

※DX=デジタルトランスフォーメーション(Digital transformation:DX)

課題・背景:利用環境の変化に応じて最適化されていなかったネットワーク

―――本プロジェクトを開始した背景・タイミングについて教えてください。

渡辺氏:テレワークについては、2016年にユニファイドコミュニケーションを導入しようというところからスタートし、IP電話やメール、Web会議システムの整備などを行ってきました。

そこから4年ほど経過し、当時の技術では今の働き方に対応しきれない点や、使い勝手の問題などがあり、改めて見直しをしようということで昨年から新たにプロジェクトが始動しました。

※ユニファイドコミュニケーション=統合されたコミュニケーション(電話やメール、テレビ会議システムなどの様々な通信や伝達手段を連携、統合して提供するシステムやサービスの総称)

―――2016年のユニファイドコミュニケーションへの取組時にはどのような課題がありましたか?

渡辺氏:Web会議にしても電話にしても、音声や映像の遅延などのトラブルが頻発しており、耐えうる状況ではなくなってきたというのが正直なところです。主な原因として回線の品質や経路の問題もありますが、ユニファイドコミュニケーション用にネットワークが最適化されていなかったというのが一番の問題でした。

操作や機能面に関しては慣れの問題もあるとは思いますが、Web会議を開催する際に準備に時間がかかることが利用者のストレスとなっていたようです。

課題解決の方法:ネットワークの見直しとMicrosoft Teamsによるコミュニケーション基盤の再構築

―――新たなコミュニケーションツールとしてMicrosoft Teamsを選定した理由は何ですか?

渡辺氏:ツールの選定については、単に使い勝手がよいということだけではなく、IT企業としてお客様にサービスを提供する上でショーケースになるかという点も重要でした。当社のお客様の企業規模やご利用されているOffice製品との親和性、お客様からのニーズの高い製品なども考慮する必要があります。Microsoft Teamsを選定した一番の理由は、JBサービスおよびJBCCが、マイクロソフト クラウドサービスの「Gold クラウド コンピテンシー パートナー」に認定されており、Microsoft製品に関する知見と、お客様への豊富な導入実績があったことです。

―――どのような手順でプロジェクトを開始したのでしょうか?

渡辺氏:最初に取り組んだのは体制づくりです。実際にお客様にMicrosoft Teamsを導入しているJBサービスのメンバーをはじめ、グループ会社からネットワークやセキュリティのエンジニアなど、プロジェクトに必要な各分野のスペシャリストを集めました。今回はトップダウンでのプロジェクトということもあり、理想のメンバーを集められたことが非常に大きな成功のポイントであったと考えています。

―――プロジェクトの目標は?

渡辺氏:今回のプロジェクトは、働き方改革に対応したコミュニケーション基盤を再構築し、コラボレーションやチームワークを円滑に行うことで、社員の柔軟な働き方と自律的な業務遂行を促進すること、また、新型コロナウイルス感染症問題を受け、出社が困難な状況においても、オフィスと同等の生産性を確保できる、BCP(事業継続計画)対策としての環境を整備することでした。

プロジェクトの期間:緊急事態宣言発出を受けて、急ピッチに進んだプロジェクト

―――運用開始までにかかった期間を教えてください。

渡辺氏:コミュニケーションツールの見直しの話が出てきたのは昨年の初め頃でしたが、実際にプロジェクトメンバーが集まって動き出したのは12月12日でした。そこから準備にとりかかりましたが、Microsoft Teamsの導入・設定などを行ったのは今年の3月中旬からで、今回の緊急事態宣言発出で一気にプロジェクトが加速し、4月13日には全社的に使い始めるという段階まで持っていきました。

―――本プロジェクトで実施した内容を具体的に教えてください。

① ネットワークの整備

渡辺氏:以前からリモート作業用のVPN環境は整備していましたが、設計段階では全社員が一度に接続することは想定していなかったため、急遽VPNの接続台数を増やし、同時にインターネットの出口の分散化など、経路の見直しも行いました。

②セキュリティ面の見直し

渡辺氏:従来は職種や業務内容などにより、VPNを利用できる人を制限していましたが、今回は協力会社の方も含めて利用範囲を広げる必要があったため、新たな基準を設けて、それをクリアできる方に限りアカウントを発行するように運用を徹底し、申請時のチェックの強化なども行いました。

③ 社内ルールや制度

渡辺氏:テレワークの運用ガイドは、人事部門が2014年に作成し、2016年に改定したものがありましたが、運用してきた中で課題がいくつか出ていたため見直しを行いました。一例をあげると「自宅のプリンターは使っていいのかどうか」などです。弊社のセキュリティ規程では、会社が認めた機器しか使用できませんでしたが、今回は私物の機器についてのルールを明確化するとともに、業務に必要なものを印刷する際のガイドラインを示しました。

④勤怠管理や人事評価についての議論

武田氏:勤怠管理については、きちんと勤務しているかどうかのチェックをしなければいけないのではないかという議論もありましたが、在宅勤務の場合、勤務時間と育児や介護などの日常生活の時間が入り混じることが前提となる働き方になるので、時間で労働をはかるという考え方を変え、実際の始業・終業・休憩時間は自己申告制となりました。

人事評価も難しくなりますが、それぞれの業務に合った目標を立ててマネージャーと共有し、それに基づいて作業を行い、進捗を報告して、成果を半期で見直しながら評価していくという形にしています。

また、テレワークの大きな課題の一つとして、過剰労働の問題があります。姿が見えないため、なんとしても成果を出さねばという思いから、働きすぎたり、仕事とプライベートとの区別がつきにくく、集中力が落ちて、ダラダラと長時間仕事をしすぎてしまったりすることがあると言われています。そこで弊社では、心身の負担を軽減して、効率よく業務が行えるように、勤務時間内でも小休憩を適度に確保することや、Microsoft Teams などのツールを有効活用して、コミュニケーションを図るように全社員に指導しました。

―――プロジェクトを進めるにあたり、何か障壁はありませんでしたか?

渡辺氏:今まで各事業会社で別々に使っていたものを統一するために、ドメインの切り替えを行うなどの作業は必要となりましたが、比較的障壁というのは少なかったように感じています。たまたま緊急事態宣言発出により、多くの社員が在宅勤務を余儀なくされたこともあり、社内の協力も得やすかったので順調に進めることができました。

導入効果:Microsoft Teamsを活用したテレワークで新しい働き方を実現

―――運用開始にあたり、2000人近い利用者にどのようなアナウンスをしたのですか?

渡辺氏:弊社のポータルに「明日からコミュニケーションツールを変更しますのでこちらから1回ログインして下さい」と掲示しました。実際にMicrosoft Teamsを使うというよりは1回ログインしてみようという方が多かったと思うのですが、上手く展開できたかなと思っています。先ほどの話にもありましたが、トップダウンで動いているため、下まで話が通りやすかったというのもあると思っています。

Microsoft Teamsを導入した翌日には、千数百名が利用してくれました。現在では1日平均約1,700名が利用しています。

―――新しいツールを導入すると、問い合わせ対応業務が急に増えるのではないかという懸念がありますが

渡辺氏:4月13日の切り替え時には、パスワードが分からないといった問い合わせは一部ありましたが、その後はあまりないような気がします。プロジェクト開始当時はまさか全員がテレワークになると思っていなかったのですが、その割には問い合わせも少なく運用できています。

今後はもっと利用者の声を拾わなければいけないと思っていますが、以前の課題であった品質に関しては「良くなった」という声が多いです。私自身も在宅勤務中のコミュニケーションはほぼ100%、Microsoft Teamsを使用していますが、操作に関しては全く不便を感じていませんし、実際の現場の方からもストレスを感じるなどの声は上がってきていません。

社内ユーザーの声

※Microsoft Teams内にテレワークを議題にしたチャネルを作成し、自由な意見交換を実施

在宅勤務が主体となり、最初は困惑しましたが、だいぶ慣れてきました。入社2年目で、まだ皆さんの顔と名前を覚えきれていないので、社内で話したい先輩を探すのも大変でしたが、Microsoft Teamsならテレビ電話で簡単につないで、顔をみて話せるところがよいと思います。チャットだけでなく、積極的にカメラをオンにしてコミュニケーションを図っています。

Microsoft Teamsが導入されたので、他の部門の方とのコミュニケーションが以前より断然スムーズになりました。最初は顔出しに躊躇する人もいましたが、Web会議もかなり頻繁に行われるようになり、今は顔出して楽しく会話しています。資料も共有しながら会話できるという点はとても良いと思います。

メンバーの発案で毎朝Microsoft Teamsで朝会を実施しています。平常時には週次で開催していたミーティングが毎朝になったことでリアルタイムにメンバー同志の情報共有も図れ、全員の顔が毎朝見られることが非常に良いと感じています。

ウチの部では、メンバー全員で音声チャットを利用して雑談をしながら、仕事を始める前のウォームアップをしています。またチャットに現在の健康状態、昨日あったこと、今日やることを書き込み、メンバーの状況を共有しています。これらをやっているおかげで、規則正しくスムーズに始業が開始でき、むしろテレワーク中の方が、コミュニケーションが取れてメンバーの状況が把握できています。

―――Microsoft Teamsの導入・運用において成功したポイントは何だと思いますか?

渡辺氏: 2016年にユニファイドコミュニケーションを導入してから、いろいろな成功や失敗がありました。それを踏まえた上で、今回Microsoft Teamsを選択し、上手くいったという流れがあります。2016年と違う部分としては、社員の個々人がLINEやSlackなどのチャットツールに慣れてきているというのが大きいと思います。チャットツール自体が一般的になっている時代で、Microsoft Teamsと操作性に違和感がなかったというところです。

また、社内で元々Microsoft Teamsを使っているメンバーがいましたので、そういった人が中心になって現場の対応をしてくれていました。簡単とはいえ新しいツールなので、身近にいる詳しい人が教えてくれると助かります。最近はわからないことがあるとネットで調べる方が多いですが、従来どおりマニュアルも整備しました。やはりマニュアルが手元にあると便利ですよね。

今後の展望について

渡辺氏:今後もっと有効活用していきたいと考えているのはファイル共有の機能です。プロジェクトや部門内で共有するファイルを、従来のファイルサーバーとMicrosoft Teamsのファイル共有機能とでどう振り分けて使うかについて今検討している段階です。

将来的には、Microsoft Teamsをメインに使っていければと考えておりますが、Microsoft Teams内でも、チャンネルで共有するファイルは、チームの SharePoint フォルダーに格納され、グループ チャットで共有したファイルは、OneDrive に保存されるため、ルールや使い方についてもガイドを作成していく予定です。

またMicrosoft Teamsを含めてですが、電話についての問題もどうしていくか検討しなければいけないと思っています。内線だとMicrosoft Teamsだけでいいような気もしますが、外線はどうするのかというところと、今のIP電話のままでよいかを検討する必要があると思っています。

またMicrosoft Teamsの特徴として他のOffice365アプリとの連携があります。今後は、スケジュールなどと連携できるともっと楽になるかと思っています。現在弊社では別のスケジューラーを持っていますが、今後連携させるかについて検討しようとしている段階です。

これからテレワークを導入する、悩んでいる担当者に対してメッセージ

渡辺氏:まずは運用ルールを決めることが大切です。弊社の場合には以前からの取り組みがうまく機能しましたが、今回初めて取り組むという場合には運用ルールをしっかりと整備する必要があるでしょう。また、セキュリティ面やネットワークの設計などプロジェクトが多岐にわたるため、社内外のスペシャリストを集めてプロジェクトをスムーズに推進していくことが非常に重要です。



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