対応時間を6割削減!正答率95%超のAIチャットボットによる効果とは

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サービス:AIチャットボットサービス
※右から
セキュリティ事業部 
DX推進部 部長 千葉 賢
AI推進グループ 林 由香里,栗山 尚之

―――今回取り上げるサービスに関して
千葉氏:部署としてのミッションはAIを活用したビジネスの推進です。AI(人工知能)を活用することで、自社やお客様の生産性を向上していく取り組みを行っております。
今回取り上げる「AIチャットボット」は、問い合わせが入力されると、AIが自然言語処理により内容を認識し、チャットボットが回答を表示するサービスです。

現在「AIチャットボット」は
① お客様に対して回答を直接返す「自動応答」
② お客様の問い合わせに回答するオペレーターの支援を行う「オペレーター支援」
③ 社内でのヘルプデスクとして活用する「社内ヘルプデスク」
など様々な領域で活用されています。

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弊社運用センターSMAC でご提供しているお客様向けの専用ヘルプデスクサービスで、「オペレーター支援②」を目的に導入したAIチャットボットの事例を中心にお話が出来ればと思います。

課題・背景:慢性的な課題として発生していたナレッジの分散と人材教育の問題

―――サービス導入の背景を教えて下さい。

林氏:まず第一が「ナレッジの分散」です。弊社のヘルプデスクサービスは、20名のエンジニアで構成されていますが、複数のナレッジ資料があり、それらが複数個所に分散されていることで、対象の資料へアクセスするスピードだけを見ても熟練者とそうでない人で2倍程度の差が出ていました。


千葉氏:ナレッジが分散し、スキルが平準化していないことで案件が属人化し、案件が増えれば増えるほど人員の増加で対応せざるを得ない状況も続いていました。


林氏:また人員の増加に関しても、対象のスキルを持った方の採用は容易ではなく、さらに教育期間はどうしても必要です。一人を一人前のレベル(汎用的な対応が出来る状態)に教育するために(案件にもよりますが)、半年程度の期間がかかっておりました。過去に同じ問い合わせを受けていれば早く対応できますが、初めて受けるものは状況の確認や類似事例の調査により時間がかかってしまい、経験値の差というものはどうしても出てきてしまいます。

課題解決の方法:AIという技術の登場により課題解決に向けて大きく前進

―――前出の課題・要望に対してどのような手順でチャットボットを導入したのでしょうか。

千葉氏:課題に関しては以前から存在しており、何も対策をしていなかったわけではありません。FAQの統一など毎年のように改善施策はやり続けていましたが、なかなか浸透しなかったり、継続できなかったりという理由で根本的な解決には至っておりませんでした。その中で「AI」という技術が向上してきたことで、これを活用することによって課題の解決に繋がるのではと考え取り組みを始めました。

―――AIチャットボット導入の具体的な手順に関してご説明ください

千葉氏:重要なのが目的です。AIを使って何をしたいのかを決めます。対応時間を短くするのか、問い合わせを減らすのかなど、目標を明確にします。その目標に対してKPIを定め、どの範囲をAIで対応するのか(スコープ)を決めていきます。まず最初は限られた範囲で実践し、効果が出なければ改善、効果が出れば範囲を広げるなどPDCAをまわしていくというのが基本的な進め方です。
範囲を明確にした後は、QAデータの登録、学習です。FAQをAIに覚えさせていくわけですが、それだけではあまり効果は得られません。過去の問い合わせのログなどを全て精査分析し、AIが答えられる範囲を広げていきました。また一つの問い合わせに対して日本語ではいろいろな言い回しがあるため、それらの文章を学習させていきます。


林氏:例えば「PCが起動しない」という現象には、「電源が入らない」「起動しない」「画面が暗いまま」など様々な表現があります。一つの文章に対して言い回しを考えるのは人が担当する部分ですが、AIが単語の並び方のパターンや、単語と単語の類似度を学習し、自動的に判断してくれるようになります。


千葉氏:また過去に質問されたことのない全く新しい質問というものも出てくるので、それは現場と連携しながら回答を用意していきます。そのような改善を繰り返し、徐々に解決率を上げていくのです。

―――AIチャットボット導入時にハードルとなる部分を教えてください

林氏:最初のQAデータの登録段階で、FAQが整備されていない、または過去ログがなく個人のナレッジに依存しているなどのケースがあると、データ化する必要があるため、登録開始までに時間がかかります。またそのやり取りの中では現場の協力が必要不可欠です。

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千葉氏:育成させてから実務で使うので、正答率が悪い場合や、経験のない新たな問い合わせがあった場合には、現場のオペレータからフィードバックをしてもらう必要があるため、担当者の協力なくしては改善が進みません。
また、お客様にAIチャットボットをご提案するケースでは、AIによって本来業務に集中できるようになるというメリットの方が大きいのですが、「AI導入による自動化=人員削減」をイメージしてしまうこともあり、協力を得にくいという声もありました。このような誤解を払拭し、円滑にプロジェクトを進めるにはトップダウンで進めていく必要を実感しました。

導入効果:AIチャットボットの正答率が3ヵ月で95%を越え、対応時間が6割削減

―――導入後にどのような成果があったのかをご説明ください。

千葉氏:重要なKPIに"正答率"というものがあるのですが、導入初期に47%だった正答率が2か月半後に95.5%まで上昇しました。(※登録済みの情報の場合)導入して2か月後には実務で使うことの出来るレベルに達しています。

実際の正答率の推移

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またもう一つの指標として全体の平均対応時間があり、AIチャットボットの導入前には1件当たり5分かかっていたものが、2か月で1件当たり2分と6割も改善いたしました。AIによるサポートがあるため、対応範囲が狭まり、現場における心理的負荷も軽減しています。平均対応時間が減ったことで人員を増やさずに案件増に対応することが出来ています。

実際に調査にかかっていた時間の推移

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また生産性の部分ではオペレーター教育にかけるリソースの削減という効果も出来ています。テクニカルな内容をAIに覚えさせておけば、その部分をオペレーターが覚える必要が無いため、教える範囲を少なくすることができます。結果として、習熟までの期間も短くすることが出来ています。特に拠点が複数あったり、24時間稼働の場合には同じ時間に全員が集まることが難しいため、全体的な教育の負荷は大きく軽減出来ています。

―――類似の他のサービスとの違いや特徴などがありましたらご説明ください。
千葉氏:我々のサービスの特徴は「運用支援」です。「チャットボット」を販売しているだけの企業では、運用や最初の設計も自分たちでやらなければいけないというケースもあり、それではうまく行きません。
林氏:最初は良くても新しい質問などが増えることでどんどん正答率が下がり、運用されなくなっていくという事例も発生しています。常に運用における改善を繰り返し、継続させることが非常に重要ですが、我々はその運用に関わる全般をコンサルティングするというところが一番の特徴かと思います。

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今後の展望:AI技術の発展により様々なものが自動化されていく

―――AIチャットボットのサービスにおいて今後どのような展開をお考えですか?
千葉氏:今後の展望としては「音声の連携」が一つのテーマです。音声からテキスト入力し、回答を導くことや、回答自体をAIが音声で回答するなどです。お客様は人間と話しているつもりでも、実はAIだったということもあり得ると思います。また、AIチャットボットの運用においてはまだ人の手を介している部分もありますが、そこも極力自動化していくというのが一つの目標です。

―――今後のAIの進化について、お考えをお聞かせください
林氏:今後画像認識などの精度が向上していけば、カメラ付きのドローンで機械の障害を検知したり、部品などの需要を予測したりすることに繋げられるかもしれません。

今回は「AIチャットボット」に関してお話をさせていただきましたが、私たちの部署名は「AIビジネス推進」であるため、ビジネスの課題をAIで解決するために今後も開発を続け、より良いサービスを提供していきたいと思います。

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