医療機器の保守・修理の委託を検討する際に知っておきたい知識

更新日 : 2023年06月02日

複数の医療機器

医療機器の保守や修理といった維持管理には、大きな業務負担がともないます。医療機器の管理に関する人材が不足していることで、お悩みの方も多いでしょう。また、医療機関で使用する医療機器のなかでも特に重要な役割を持つものについては、適正な管理や保守が法律で義務づけられているため、決してないがしろにしてはいけません。

この記事では、医療機器の保守や修理を外部へ委託する際に押さえておきたいポイントをご紹介します。

医療機器の保守・修理の重要性

医療機関内にある医療機器は日々点検・管理され、適正に動作する状態が保たれている必要があります。ここでは、医療機器の保守や修理の重要性・必要性についてくわしくご紹介します。

医療機器の寿命と機能維持

医療機器にも寿命があり、税法上の耐用年数はおおむね4年~10年とされています。また、標準的な使用の上で、メーカーが定める使用期間の目安(耐用期間)は7~8年とされているケースが一般的です。

この耐用期間における「標準的な使用」には、消耗品の交換等を含む定期的なメンテナンスを実施することも含まれていると考えましょう。正しく維持管理が行われていれば、メーカー指定の耐用期間を目安として使用を継続できるということです。

患者の安全と信頼との関係性

医療機器の電源が入らない・正常に作動しないなどの予期せぬトラブルが発生した場合、医療行為を中断・延期する必要が出てきてしまいます。場合によっては、患者さんを他の場所や医療機関に移動させたり、機器を交換したりせざるを得なくなる可能性もあるでしょう。

医療機器が正常に使用できなくなる事態は、患者さんに大きな負担をかけてしまうことにつながります。また医療行為の行えない状況が続くと、医療を安全に提供できる場としての医療機関の信用が揺らいでしまう可能性も考えられるでしょう。

医療機器の保守・点検・修理は、患者さんの安全を守り、医療機関の信頼を保つためにも重要になってくるのです。

法規制とコンプライアンス

医療機関で使用されている医療機器には、その使用にともなう安全責任が課されており、定期的な保守点検を行うことが医薬品医療機器等法(薬機法)で義務づけられています。

保守点検が義務づけられた医療機器のことを「特定保守管理医療機器」と呼び、これらは医薬品医療機器等法(薬機法) 第2条8項によって規定されています。なお、特定保守管理医療機器とは、医療機器のなかでも特に適切な保守点検や修理などが必要で、それらの管理を実施しなければ診断や治療、予防に重大な影響を与えるとされる機器のことです。

以下に、特定保守管理医療機器の一例をご紹介します。

【おもな特定保守管理医療機器】

・手術用照明器

・人工呼吸器

・麻酔器

・人工心肺用システム

・超音波画像診断装置

・X線用テレビ装置

・注射筒輸液ポンプ

・体外式心臓ペースメーカー など

<出典>

e-Govポータル「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」

医療機器の保守・修理における課題

悩んでいる女性の医師

医療機関で使用される医療機器の保守や修理を考えるとき、さまざまな課題が頻出します。

ここでは、医療機器の管理において直面しがちな課題についてご紹介します。

専門知識や技術の不足

医療の進歩にともなって、使用される機器も日進月歩で高度化しています。数年前に習得した知識や技術が、もう過去のものになりつつあることを実感されている方も多いでしょう。

それにともない、医療機器管理の市場も急拡大しています。この流れは今後も加速すると目されており、医療機器点検などの保守・管理レベルも高度になっていくことが予測できます。

人材不足と高齢化

急速に進む社会の少子高齢化にともない、医師や看護師など医療従事者の数も今後さらに不足することが想定されています。医療の業界全体で人手不足が深刻化するということは、医療機器を点検・修理できるスタッフの数も減っていくということになります。

医療機器の点検や修理を、外注委託している医療機関も多いと思います。しかし、外注先の人材も今後不足することが考えられますので、同様のリスクが想定できるでしょう。これから確実にやってくる人材不足の時代を見越し、さらなる業務効率化に取り組む必要があります。

コストと効率性の課題

医療機器の点検や修理を行う際には当然ながらコストがかかりますし、機器が高度になるとその費用もかさみます。また、病院の規模に応じて多くの台数を保有していれば、それだけ維持管理にかかるコストも高くなるでしょう。

医療は人命に直結する分野であり、安全上および法令上において管理コストを抑えることは難しいものです。

医療機器の保守・修理を委託するメリット

自院で医療機器の保守・修理を行うことに、限界を感じ始めているケースも少なくないでしょう。しかし、医療の安全を守るためにも医療機器の維持管理は欠かせないものです。

ここでは、医療機器の保守・修理を外部へ委託することのメリットについてご紹介します。

専門知識を持った人材が担当

自院で医療機器の保守・修理を行う場合、院内スタッフのうち臨床工学技士がそれを務める場合が一般的です。しかし臨床工学技士には機器の操作という基幹業務があるため、それらに携わる時間を割いて保守・修理を行わなければなりません。

したがって保守・修理業務を外部委託することにより、専門知識を持つ専業スタッフにそれらを安心して一任でき、臨床工学技士は基幹業務に集中することができます。

コスト削減と効率化

保守・修理を行うにあたっては、医療機器が一定期間使用できなくなるタイミングが生まれます。この時間帯を医療機器の「ダウンタイム」と呼びます。ダウンタイムが長くなってしまうと、業務効率が低下することにとどまらず、院内での医療行為におけるリスクにもなり得るでしょう。

保守・修理を専門のプロに一任することで、このダウンタイムを短縮することにつながります。

法規制とコンプライアンスの対応

法で義務づけられている医療機器の保守点検は、日々行う「日常点検」と、定められた期間ごとに行う「定期点検」があり、その実施と記録が必要です。それらを院内スタッフだけで行うとなると、人員不足の場合は業務負担も大きくなることでしょう。

これらの保守点検を外部に委託すると、負担の大きい報告書の作成なども代行してもらうことができます。

医療機器の保守・修理の委託先の選び方

話し合いをしている医師と看護師

医療機器の保守・修理の委託先を探してみると、実に多くのサービスやソリューションがヒットすると思います。多すぎて、どのように選んで良いか分からないというお悩みも生じてくるかもしれません。

ここでは、医療機器の保守・修理を委託する業者選びのポイントをご紹介します。

専門性と実績

医療機器の保守・修理は人命や法令に直結するものですから、外注を考える場合も信頼できる委託先を選定することが何より大切です。

業者が特定の医療機器について深い知識と経験を持っていること、必要な認定や訓練を受けているか等を確認してください。

複数の委託先を比較検討する際は、導入事例などを参考にすることも有用です。

サポート体制

医療機器のダウンタイムは、極力短縮したいものです。特に24時間診療を行っている医療機関であれば、万一医療機器が使えなくなったときも早期復旧が最優先されるべきでしょう。

医療機器の保守・修理を行う専門業者は多数ありますが、サポート体制の充実度は業者によって異なります。こちらも十分に比較検討し、サポートの充実した業者を選定し依頼することが大切です。

費用対効果

患者さんの安全にかかわってくる医療機器ですから、保守・修理の外注委託を安さで妥協して選ぶことはおすすめできません。とはいっても、医療機関の運営においてコスト管理は重要な課題でもあります。

そこで、委託先選びで重要視したいのが「費用対効果(コストパフォーマンス)」です。支払うコストと、外注依頼で実現できる業務効率化や信頼性向上との釣り合いが取れているかを慎重に検討し、外注先を決定しましょう。

まとめ

医療の安全を守るためにも、医療機器がいつも正常に使用できる状態を保っておくことは大切です。これまでは院内スタッフが点検や修理にあたってきたものの、業務負担を考えるとその継続が難しいと考えている場合は、医療機器の保守・修理を専門業者に外注依頼(アウトソーシング)することも1つの手です。その際には本記事の内容をご参考によく検討し、自院に適した外注先を選定しましょう。

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