CopilotでExcelデータの予測はできる?ChatGPTが考えたプロンプトを試してみた

更新日 : 2025年05月02日

CopilotでExcelデータの予測はできる?ChatGPTが考えたプロンプトを試してみた

Microsoft 365を利用している企業では、Microsoft Copilotの導入が徐々に進んでいます。Copilotは、プログラミングの経験がないユーザーでも自然言語で質問できるため、利用のハードルは比較的低いです。しかし、指示が適切でない場合には、意図しない結果が出力されることがあります。このような経験をしたことはありませんか?

今回は、別のAIツールであるChatGPTを使用して、Copilotへ入力するプロンプトを作成し、そのプロンプトを使用した場合のCopilotの反応を検証しました。

※記事には、実際に入力した指示内容やその際に得られた回答を記載していますが、再現性は保証できませんのでご了承ください。

※生成AIの利用に関しては、企業のAI利用ルールに従って行うようにしてください。

Excelデータをもとにデータ予測をするようCopilotに指示してみる

Excelのシートでは、1年間の訪問者数をデータとしてまとめています。下記の画像のとおり、月別の訪問者数の合計(オレンジ色のテーブル)や、ページ別の月別訪問者数(青緑色のテーブル)にまとめています。(記載の数値は仮のものです)

1年間の訪問者数をデータでまとめています

このデータをもとに、ExcelからCopilotに来年度の訪問者数の予測をしてもらいます。

最初に入力したプロンプトは「B3:N4の月別訪問者数データをもとに、来年の4月の訪問者数を予測してください。」です。

Copilotからの応答

Copilotからの回答は、「来年の4月の訪問者数を予測するためのデータが不足しています。具体的な予測手法を指定していただけると助かります。」というものでした。具体的な予測手法についてイメージが涌かなかったため、Copilotに質問したところ、以下の回答がありました。

Copilotからの回答

具体的な予測手法とは、訪問者数を予測するために使用する統計的または数学的な方法のことです。以下にいくつかの一般的な予測手法を紹介します:

  • 移動平均:過去のデータの平均を計算し、将来の値を予測します。
  • 前年同月比較:前年の同じ月のデータを基に予測します。
  • 線形回帰:過去のデータを基に直線を引き、その直線を使って将来の値を予測します。
  • 指数平滑:最近のデータに重みを置いて平均を計算し、予測します。
  • 季節性調整:季節性のパターンを考慮して予測します。

これらの手法を使用して、訪問者数の予測を行うことができます。

どうやらCopilotに指示するには、具体的な予測手法を指定しないと難しいようです。どれが適切なのか見当がつかない、けれど予測はしてもらいたい...、と思ったため、どんなプロンプトを入力すれば訪問者数の予測ができるのか、ChatGPTに相談してみました。

月単位の訪問者数をもとに来年度の訪問者数数を予測したい

ChatGPTへCopilotへのプロンプトを相談してみる

まずは、ChatGPTにCopilotにどんなプロンプトを入力すればいいかを聞いてみました。

「1年間のホームページの訪問者数の月単位のデータです。上記データをもとに来年4月の訪問者数を予測したいのですが、Copilotへ指示するプロンプトを考えて。」

するとChatGPTから以下の回答がありました。

ChatGPTからの回答

Copilotに訪問者数の予測を依頼するためのプロンプトは、以下のようにすると具体的かつ適切です:

以下の月別訪問者数データを基に、来年4月の訪問者数を予測してください。単純な平均や季節性も考慮して構いません。結果には、使用した予測手法(例:移動平均、前年同月比較、線形回帰など)を簡単に説明してください。

このプロンプトを使ってCopilotに指示したところ、「申し訳ありませんが、予測を行うことができませんでした。データの形式や内容を再確認していただけますか?または、具体的な予測手法を指定していただけると助かります。」と回答がありました。どうやらこれでは指示が不明確のようなので、この結果をChatGPTに共有し再度プロンプトを作成してもらいます。

ChatGPTへCopilotへのプロンプトを再度相談してみる

ChatGPTから以下のような回答が得られました。

ChatGPTからの回答

ありがとうございます。Copilotがそのように回答したのは、おそらく「どのように予測すべきか」「どんな形式のデータか」が曖昧に感じられたためです。以下のように、明確に形式・手法・目的を指定したプロンプトに改善しましょう。

  • Copilot用再考プロンプト(ExcelまたはPythonどちらでも使える汎用形式):
    以下の月別訪問者数データをもとに、「来年の4月の訪問者数」を予測してください。-予測手法として「前年4月のデータ+過去1年の平均伸び率」を使ってください。-必要なら移動平均や線形回帰を使っても構いません。-最終的に来年4月の予測値を1つ提示してください。-使ったロジックを簡単に説明してください。
  • さらに具体的にしたい場合(予測手法を完全に指定):
    以下の訪問者数(月別)から、来年4月の訪問者数を「線形回帰モデル」を使って予測してください。説明変数は月番号(4〜3の12ヶ月)とし、目的変数は訪問者数です。予測値を返し、使用した回帰式も出力してください。

Copilotは**「曖昧な依頼」や「データ形式が不定な依頼」**には弱いため、目的・手法・データ形式をはっきり指定するのが効果的です。必要なら、Excel用の関数式やPythonスクリプト向けのプロンプトにもカスタマイズできますが、どう使う予定ですか?

色々と案を考えてくれていますが、まずはCopilot用再考プロンプトに記載されたプロンプトをCopilotに指示してみます。

Copilotの反応

ChatGPTが考えた再考プロンプトをCopilotに入力した結果下記のような回答が得られました。

Copilotからの回答

来年の4月の訪問者数を予測するために、以下の手順を使用します。

  1. 前年4月の訪問者数を取得します。
  2. 過去1年の平均伸び率を計算します。
  3. 前年4月の訪問者数に平均伸び率を掛けて、来年4月の訪問者数を予測します。

まず、過去1年の平均伸び率を計算するための式を作成します。

=AVERAGE((D4/C4-1), (E4/D4-1), (F4/E4-1), (G4/F4-1), (H4/G4-1), (I4/H4-1), (J4/I4-1), (K4/J4-1), (L4/K4-1), (M4/L4-1), (N4/M4-1))

次に、来年4月の訪問者数を予測するための式を作成します。

=C4*(1+AVERAGE((D4/C4-1), (E4/D4-1), (F4/E4-1), (G4/F4-1), (H4/G4-1), (I4/H4-1), (J4/I4-1), (K4/J4-1), (L4/K4-1), (M4/L4-1), (N4/M4-1)))

この式は、前年4月の訪問者数(134,891)に過去1年の平均伸び率を掛けて、来年4月の訪問者数を予測します。

何やら計算式がいくつか含まれた回答が得られました。ExcelにCopilotが自動で計算式を入力してくれるのではなく、入力すべき計算式を教えてくれる形でした。

どのセルに入力すればよいかわからなかったので、ChatGPTに相談したところ、入力すべきセルを教えてくれました。その指示どおりにExcelに式を入力してみました。

以下の画像の赤枠内のとおり、予測した訪問者数が計算されました。

赤枠が予測データの算出式が入力されたセルです。

ページ単位のアクセスを加味した来年度の訪問者数を予測したい

予測結果は出たものの、ページ単位の訪問者数の動向を加味すると、予測結果がどれだけ変わるか気になったため、再度ChatGPTにプロンプトを相談してみました。

ChatGPTからの回答

以下の2種類の表に基づいて、来年度の各月の訪問者数を予測してください:

  1. セル範囲B3:N4:全体の月別訪問者数(1年間、横に各月が並び、1行目がヘッダー、2行目が訪問者数)
  2. セル範囲B7:N1557:各ページごとの月別訪問者数(行がページごと、列が月ごとの訪問数)

【分析・予測の条件】

  • 各ページの訪問者数の増減傾向を考慮してください。
  • 来年度の月別訪問者数(全体)を予測してください。
  • 出力は次年度の各月(1月~12月)の予測値として一覧で表示してください。
  • モデルや手法(例:線形回帰、指数平滑など)を明示してください。

必要に応じて、時系列分析などの適切な統計モデルを使用してください。

このプロンプトをベースに、表の構成や予測の粒度(例:「ページごと」or「全体の合計」)に応じて調整できます。

必要であれば、実際のデータ構造を元にカスタマイズも可能です。構成に間違いがないか確認したいですか?

この内容をもとにCopilotへ指示をしたところ下記の回答がありました。

Copilotからの回答

来年度の各月の訪問者数を予測するために、以下の手順を使用します。

  1. 各ページの月別訪問者数の増減傾向を計算します。
  2. 線形回帰を使用して各ページの月別訪問者数を予測します。
  3. 各ページの予測値を合計して、全体の月別訪問者数を予測します。

まず、各ページの月別訪問者数の増減傾向を計算するための式を作成します。

=LINEST(C8:N8, {1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12})

次に、線形回帰を使用して各ページの月別訪問者数を予測するための式を作成します。

=TREND(C8:N8, {1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12}, {13,14,15,16,17,18,19,20,21,22,23,24})

最後に、各ページの予測値を合計して、全体の月別訪問者数を予測するための式を作成します。

=SUM(TREND(C8:N8, {1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12}, {13,14,15,16,17,18,19,20,21,22,23,24}))

この手法により、来年度の各月の訪問者数を予測できます。

この回答にある計算式もどのセルに入力すべきかをChatGPTに相談し入力し、その指示のとおりExcelに式を入力してみたところ、下記の画像の通り予測した訪問者数が計算されました。

ページ単位のアクセスを加味した来年度の訪問者数を予測

所感

Excelの関数に精通している方であれば、ChatGPTに頼らなくても書ける内容かもしれません。しかし、的確なプロンプトを作成できずにCopilotの活用を諦める前に、ChatGPTに相談することでプロンプト作成を試行錯誤する時間を短縮できたのは良かったと思います。入力データの重要度や機密性などの性質、また各企業によって使用が許可されている生成AIツールやルールが異なるため、一概にすべての企業にお勧めできる手法ではないかもしれません。Copilotへの指示がうまくできずにお悩みの方にとっては、試してみる価値があると感じました。

なお、あくまでCopilotが出力した結果をそのまま利用するのではなく、それを予測データとして活用するかどうかは人間の判断が必要です。例えば、上記データで言うと訪問者数としては考えられないマイナスの数値がそのままセルに記載されています。ただし、これらの出力結果をうまく活用すれば、来年度の訪問者数の目標値を算出する際に、社内での打ち合わせや議論の素案などとして役立つ可能性があります。

まとめ

今回は、別のAIツールであるChatGPTを使用して、Copilotへのプロンプトを作成し、そのプロンプトを用いた場合のCopilotの反応を検証した結果をご紹介しました。

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