IT管理とは?IT資産管理・運用管理の違いや、効率の良いIT管理の方法について

更新日 : 2023年11月16日

PCを見る社員

企業内でIT化を目指し情報システムを導入すると、それらのシステムや周辺機器を管理する業務も同時に発生します。IT管理に関する業務は、ひとことでいうと「煩雑」なもの。業務効率化や生産性向上を実現するためのIT化であるはずが、情報システム部門の業務が増加する事態に陥りがちです。効率の良いIT管理はどのように行えば良いのでしょうか。

この記事ではIT資産管理とIT運用管理の違いをはじめ、IT管理についてご紹介します。

IT管理とは

IT管理とは、企業や組織が持つIT資産の管理やITシステムの構築・導入、運用・保守、セキュリティ対策、社内サポートなどIT関連業務について管理を行うことを指します。IT資産とは、ハードウェアやソフトウェア、ネットワーク機器など、企業・組織内のITに関わる機器、部品、システム等のことです。

IT管理の内容は多岐にわたりますが、おおむね「IT資産管理」と「IT運用管理」が主な業務となります。

IT資産管理と運用管理の違い

PCセットアップのイメージ IT資産管理とIT運用管理とは、一部重なる業務もありますが、主な目的が異なります。

IT資産管理とは

IT資産管理は、企業・組織内のIT資産の状況を把握し、管理することです。

ハードウェアの数や利用者、ネットワークの接続状況、ソフトウェアのライセンスやバージョン、セキュリティ対策の実施状況などをすべて把握。企業・組織の状況が変わるときには、随時必要な対応を行います。

たとえば新しい人員が企業に入社した場合には、PCのセットアップや必要なソフトウェアのインストールなどのキッティング作業を行います。人員が退職するときや機器の故障などのトラブルの場合は、不要となったPCのデータ消去や本体の保管、機器の交換などが必要です。ソフトウェアのライセンスについては、契約数以上に使ったり期限切れとなったりしてライセンス違反とならないように、利用状況を把握しておかなければなりません。

IT資産管理は作業量が多くなりがちですが、企業のセキュリティ対策やコンプライアンスの強化につながる大切な業務です。

IT運用管理とは

IT運用管理とは、企業・組織内のITシステムが安定稼働するように管理することです。システム運用管理や「運用・保守」とも呼ばれます。

IT運用管理の主な業務は、ハードウェアやソフトウェア、ネットワーク、セキュリティなどの点検・監視です。システムのバックアップも行い、障害発生時には復旧に向けて対応を行います。またITシステムの運用を最適化することを目的として、情報システム部門やその他IT関連部門の業務改善を行うこともあります。

IT管理業務を効率化するための課題

IT管理業務を効率良く行うためには、いくつか課題があります。

IT管理の対応範囲が非常に広い

IT管理の対応範囲が非常に広いことが、課題の大前提として挙げられます。

PCに加え、タブレットやスマートフォンなどのモバイル端末、クラウドを含むサービスやソフトウェア、在宅勤務用のネットワーク機器など、IT資産の数は膨大です。ペーパーレス化を推進している企業では、サーバや複合機、スキャナなどの数も増えているでしょう。

その他、ソフトウェアの適正使用のための情報管理やセキュリティ対策に至るまで、IT業務の対応範囲の広さは後述する問題にも派生してきます。

働き方の多様化

社会情勢の変化に伴って、今や会社に限らず、自宅やサテライトオフィス、カフェなどでのテレワークが可能になりました。また勤務時間も固定ではなく、フレックスタイム制度を導入している企業もあります。働く人にとっては、このような働き方の多様化は業務効率化につながりえますが、IT管理を担う人にとっては課題となるものです。

IT管理の担当者は、テレワークをしている社員が、許可していないソフトウェアやクラウドサービスを利用していないか、内部不正につながる行動をしていないか、チェックする必要があります。また業務に使う機器が故障したときに、速やかに代替機器を送る流れを整えておくというように、テレワークをしている人の業務が滞らない仕組みを考慮しておかなければなりません。

社員からの問い合わせや障害への対応が必要

IT管理の担当者が、社員からの問い合わせや障害への対応を行うこともあります。ネットワークがつながらない、ソフトウェアをうまくインストールできないなど一般社員のトラブルに対応し、場合によっては修理の依頼をする必要があります。これらは突発的に起こりうる業務であり、担当者はコア業務に取り組む時間を割かれがちです。

情シス担当者の人員不足

そもそも情報システム部門は人員不足となりがちで、IT管理の担当者の業務が増えれば、業務効率化まで手が回らなくなってしまいます。特に社内にITに詳しい人が少ないと、IT管理業務が属人化し、他の一般社員からは業務が見えにくくなるケースもあります。企業の根幹を担うITシステムの運用がブラックボックス化していると、トラブルが起きたときに対応しきれなくなるでしょう。

ジョーシス株式会社が2023年に行った情報システム部門で働く方を対象とする業務内容調査では、「現在の情報システム部門において人員は十分ですか」という質問に対し、約65%が不足していると回答しています。

日本では専門的な知識のあるエンジニアが不足しており、人員の補強も困難であるのが現状です。

参考:ノンコア業務、自社採用より外部アウトソーシングを希望! 情報システム部門社員の65%が「人員不足」と回答 外部アウトソーシング検討が62.9% ジョーシス株式会社

効率の良いIT管理の方法は?

ハードウェア

これらの課題を踏まえて、IT管理の効率化やセキュリティ対策などを実施するには、IT管理業務ツールを導入する、もしくはアウトソーシングを行うという方法があります。

IT資産管理ツールを導入する

IT資産をExcelや紙などの台帳で管理することも、IT管理の方法のひとつです。しかしこの方法だと情報収集や入力が手間となり、転記ミスが起こる可能性があります。

専用のIT資産管理ツールであれば、サーバやPCなどの機器やソフトウェアライセンスなど管理上必要な情報を自動で収集することが可能です。OSやソフトウェアのアップデートが必要かどうかを可視化し、必要なファイルやソフトウェアを自動で配布する機能を有するものもあります。

また社外でテレワークを行っている人の操作ログを収集したり、PCの遠隔操作をしたりすることもできます。ツールで自動化できるのはIT管理の一部の業務ですが、ツールを使用することで情報システム部門の業務効率化につながるのです。

IT管理のアウトソーシングサービスを活用する

IT管理のアウトソーシングサービスでも、ハードウェアのライフサイクル管理が可能なものがあります。アウトソーシングサービスでは専門家が対応にあたるため、人員不足のためにそれまで実施できなかった業務に対応することが可能です。また休日や夜間を含むネットワーク機器やセキュリティ製品の監視、機器の修理サービスの申し込みや代替機の手配などを含むサービスもあります。

IT管理が初めてで何から手を付ければ良いのかわからないという場合には、サービス事業者と相談することも可能です。事業者側から適切なアドバイスをもらえ、課題に応じて段階的に必要な機能を導入することもできます。

まとめ

IT管理に本腰を入れるとすれば、IT資産を洗い出すところから始めることになるでしょう。

しかし部門で管理が分かれていたり、情報システム部門が少数精鋭の組織だったりと、事前の想定以上に障壁があるかもしれません。IT管理に課題を感じたときは、アウトソーシングを視野に入れるのがおすすめです。

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ツールやアウトソーシングも活用しながら、自社ならではの効率の良いIT管理業務の形を目指しましょう。

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