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"失敗しないAI導入"の勘所は?

AI(人工知能)が一般のビジネス社会でも"使えるツール"として脚光を浴びてから、10年近くが経とうとしています。一過性のブームではないことが明白になった一方で、オフィス業務での適用が難しい、期待したほどの成果が上がらない、といった声を耳にする機会も増えてきたのではないでしょうか。

実践フェーズに入ったAIの課題

IPA(情報処理推進機構)の「AI白書2020」で実施した利用動向調査では、 ユーザー企業 525 社中、AI を実導入している企業はわずか 4.2%で、存在感が増している一方、現場での稼動がなかなか加速しない理由の一つは、この技術が汎用的で多機能なこと、"何でもできる"という誤解が払拭できていない点にありそうです。

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出展:IPA(独立行政法人情報処理推進機構)「AI 白書 2020」2020年2月発表 よりグラフを再作成

汎用的なAIは他の技術に比べ、その特性と限界、適合する分野の見極めが難しい部分はあるのですが、冷静な検証は導入の成否を分ける分岐点と言えます。ここから先は、失敗しないためのポイントを抽出しながら、AIを実務に採り入れ、企業の競争力をアップする方法を考えていきましょう。

起点は"AIの本質"の再確認

当然のことですが、システム構築において、目的が絞りきれていない、社内の合意が完全に取られていない、推進チームの力量と情報が不足するといったケースでは、プロジェクトの完遂は難しいでしょう。ここまではAIに限らない話ですが、汎用性が高い技術であるAIは、スコープ(対象領域)の広げすぎ、データ量の不足といった課題も目立っています。

AI導入に向けた最初のステップは、機能を冷静に見極めることです。AIの活用が進んでいるのは、画像・音声認識の応用、自動運転、製造現場におけるロボットの制御、自然言語理解による対話サービス、知的作業の支援などがありますが、分野は異なっていてもAIが答えを出すまでのプロセスは共通しています。思い切って単純化してしまうと、

 データの集積 → 学習 → 処理・判断

大量のデータを集積して分類し、データから共通の要素を見出し、あるいは人間が教え込んだロジックやルールに基づいて推論し、何らかの処理・判断を行なうというものです。データから特徴が見出せないときはゼロベースで問題を見直す、ルールと合致しないときは臨機応変にヘルプを出す、といった私たちが"知能"に期待する作業は難しいのが現実です。

このようなAIの特性を踏まえた上で、"失敗しないAI導入"について、オフィス業務と関連が深い分野を中心に掘り下げてみます。

過度な期待からのミスリード

ブームが落ち着いた最近は減ってきていますが、オフィス業務でAI導入がうまくいかない要因の一つに、AIを正しく理解せずに、"Intelligence"に対して過度な期待をしているケースがまだあるようです。「AI導入を検討するに当たっての課題」についての調査結果でも、「自社内にAIについての理解が不足している」が55.0%もありました。AIは過去のデータを元に共通項やルールを見出すもので、その意味では知性=Intelligenceというより、高度な情報処理=Informationと定義して取り組んだ方がいいかもしれません。

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出展:IPA(独立行政法人情報処理推進機構)「AI 白書 2020」2020年2月発表 よりグラフを再作成

プロジェクトの起動時には、経営陣と導入現場、エンジニアなど関係者の間で、"万能の知性ではない"という認識をベースにAIの定義についてコンセンサスを取っておくこと。次の段階は導入目的の明確化です。これも当たり前のようですが、AIに関しては定義の揺らぎもあって、絞りきれないケースも多々あるようです。例えば、ユーザーサポート業務では、"ナレッジの分散""コスト削減"などのテーマを設定し、ここからもう少し具体的な内容に落とす作業が必要です。

スコープの拡散が正答率の低下をまねく

"AIの定義と目的の明確化"とも結びつく話ですが、適用範囲を広げすぎると、期待した成果は得られないと考えていいでしょう。例えば、ユーザーサポートに適用する場合、あらゆる問い合わせに応答しようとすると、学習の効率が落ちてしまい正答率がなかなか上がっていかないからです。

企業のヘルプデスクにAIチャットボット(自動会話プログラム)の導入が進んでいますが、うまく回っているところは総務部のベテランスタッフのような働きは求めていません。A社の場合、経費清算と福利厚生など、部署を問わず頻発する問合わせへの対応に絞っています。B社では、情報機器を中心とした備品の取扱いに特化したチャットボットを試験運用中ですが、目的に設定した"担当部署の負担軽減"で成果が見えてきたそうです。

備品に関するガイダンスでは、例えばPCが使えない場合、"電源が入らない""OSが起動しない""画面がロックした"など、いくつかの症状がありますが、基本的な表現を学習させておけば、単語の類似性から判断し、AIが適切な処置を自動応答してくれるようになります。このように、スコープをある程度絞った運用は、学習効率と正答率のアップ、円滑な運用につながります。

データの不足も頓挫の要因

もう一つのハードルは、十分なデータ量の確保です。いまのAIブームは、Webや情報システムが社会に浸透し、大量のデータを入手できる環境が整ったことが発端です。十分なデータがなければAIの判断能力は上がりません。例えば、マーケティング報告やアンケート回答の"備考欄"がほとんど空白では、回収できた件数は増えたとしても、製品やサービスの質的向上に有益なデータは、ないと判断されてしまいます。

データの質も問われます。例えば、製品の在庫数を示した値は、配送センターから出荷した日のデータなのか、販売店に届いた日の数字なのか。AIが適切な応答を返すには、目的とするアウトプットに応じてデータを成形しておく必要があるのです。この作業の負担が大きすぎる業務に適用すると、最初から人間がやった方が早い、安い、ということになりかねません。

合否判定は長めのスパンも用意する

新しいシステムを導入する場合、費用対効果で結果を出さなければなりません。KPI(重要業績評価指標)を設定して、達成度合いを経営層に示さなければならないケースも多いでしょう。学習の繰り返しで精度を高めていくAIは、顧客管理やコミュニケーションツールのような業務アプリに比べ、短期のスパンではKPIのような指標の明示が難しいケースもあります。

その一方、ユーザーサポートやヘルプデスクに適用すると、機械が相手だと心理的な負担が減るためか、"利用者の層が拡がった""想定していなかった質問も届くようになった"といった報告も届いています。これによってAIが返答できるエリアを広げていくと同時に、エンドユーザーの率直な声を、製品・サービスの改良にフィードバックしていけるという二次的な効果も生まれるでしょう。

このような特性も考慮しながら、AIの効果測定は少し長めのスパンで見たいものです。

失敗を回避できたモデルケース

最後に"失敗しないAI導入"を実践してきたモデルケースとして、情報サービス業のC社におけるAIチャットボットの導入例を紹介しましょう。

多くの業種業態で人手不足が深刻化していますが、ユーザーサポートも例外ではありません。人員を投入して労働集約型で乗り切る方法は、もはや現実的な解ではないでしょう。C社のサポート業務でも、人材の確保、増員に伴うコスト負担、担当者のスキルのバラツキなどが課題とされてきました。

自然言語理解による対話サービスを終日稼動できるAIチャットボットは、このような課題に対するソリューションとして効果を発揮します。同社の場合、導入目的はオペレーター支援。具体的な項目として、"センターのコスト削減""サービスレベルの均質化"、24時間365日運用によるサービス向上"などが挙げられていました。

本格運用の開始から1年弱。コスト削減と1件あたりの対応時間の短縮など、比較的数値化しやすい領域に加えて、サービスレベルの均質化、さらにより専門的、高度な質問を分析し、サービスの質的向上に反映させるなど、短期では効果測定が難しいところでも成果が現れてきています。

専門家のナレッジも活用しよう

目的の明確化と適切なスコープの設定、十分なデータ、そして長期の視点を持つ。モデルケースを見ても、このあたりがAI導入の失敗を避けるための最大公約数ですが、もう一つ重要なステップはPoC(概念実証)です。AIは多くの企業にとって新しいシステムですから、スモールスタートで着手し、PDCAをまわしながらの調整も欠かせません。

C社のAIが順調に稼動している要因として、効果測定とメンテナンスも挙げられます。問合わせの種類が増えると正答率が下がり、利用率も下がってしまうケースがあるため、内容の分析から応答への反映、学習方法の更新という作業も重視しています。またサービスの周知を行なうと同時に、ビジネスチャットも使ったユーザーの声の集積や、必要に応じてフェイスツーフェイスの機会も設け、ニーズを吸い上げながらAIをアップグレードする作業も続けています。

C社独自の工夫として、応答を無機質にしないように、簡単なコメントを挿入したり、タイムリーなサンクスメッセージを添えたりして、新しさと柔らかさを加えながら、血が通ったサービスに育てることも心がけています。できるだけ多くのユーザーに受け入れられえるシステムにするには、こうした配慮も有効でしょう。

まとめ

失敗しないAIの導入には、現場の業務とAIの双方の知見が必要ですが、最初はAIの導入目的の明確化やPoC、効果測定などが難しいケースもあるかもしれません。この分野を任せられる人材や時間が不足する場合は、起案から運用までをサポートするコンサルティングサービスの活用も考えてください。

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