オペレーターではなくカウンセラーとして、JBサービスのコールセンターが目指す人材育成とは
更新日 : 2023年10月30日
(右から) JBサービス株式会社 セキュリティ事業部 マネジメントサービス本部 SMAC サービスマネジメント推進 部長 伊藤佳子 第二サービスデスク マネジメント1G グループリーダー 永井亨和 |
JBサービスでは、IT分野で培った技術と知見をベースに、多種多様な業種のお客様に対応可能なコールセンター受付代行サービスを24時間365日体制でご提供しております。コストセンターからプロフィットセンターへと進化するコールセンターを目指し、弊社では現場で働く人材の育成と労働環境の改善に力を注いでいます。本記事では、弊社のコールセンターにおける人材の考え方についてセキュリティ事業部 マネジメントサービス本部 SMAC サービスマネジメント推進 部長 伊藤佳子氏、および第二サービスデスク マネジメント1G グループリーダー 永井亨和氏が紹介します。
単に質問を受け付けるオペレーターではなく専門知識で解決を導くカウンセラー
伊藤氏:
私たちは60年以上にわたり、ITに関する様々なサービスを提供し続けています。そこで培われた、ITに関する知識と経験は、私たちが提供するサービスの大きな特徴となっています。ただ、扱っている領域はIT分野だけでなく、医療、物流、商業、娯楽業など、幅広い分野に対応しています。
これにより、多様な知識と経験を活かし、お客様からも高い評価を受け、2022年度の契約更新率は95%で支持され続けています。
永井氏:
お客様から特に高く評価されている点は、コロナ前から18年以上にわたり継続的に改善を重ねてきた、堅実なBCP(事業継続計画)体制と仕組みづくりです。私たちは、万が一の事態に備え、東京と名古屋の2カ所に設けた運用センターSMACにより、24時間365日の受付対応を提供し、高品質なIT運用と情報セキュリティなどの万全な体制を整え、お客様のBCP対策をサポートしています。
また、コールセンターは個人情報を扱うケースが多いので、現場には十分なセキュリティ対策が欠かせません。弊社のコールセンター部門はセキュリティに関する規格であるISO20000・ISO27001・ISO27017・Pマークなども取得しています。これらの規格を取得しているコールセンターサービスは少なく、私たちの大きな強みになっています。
<注釈>
ISO20000:ITサービスマネジメントシステム(ITSMS)に関する国際規格
ISO27001:情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)に関する国際規格
ISO27017:クラウドサービスに関する情報セキュリティ管理策のガイドライン規格
Pマーク:個人情報の保護体制に対する第三者認証制度
決して孤独にはさせない。活発なコミュケーションでモチベーションアップ
伊藤氏:
通常、コールセンターのオペレーターでは、1人が担当する会社は1社です。しかし、私たちのコールセンターでは、5〜6人のチームが数十社を担当します。しかも、その分野もIT機器だけでなく、医療、物流、商業、アミューズ、オフィスなどの機器と様々です。そのため、多種多様な知識が必要となります。これだけ聞くと、大変な仕事だと感じるかもしれませんが、実際に働いている方々からは「楽しくて充実している」という感想が数多く上がってきます。人は、同じ内容の話を繰り返す方がストレスは溜まります。むしろ、いろいろな分野からいろいろな問い合わせがある方が、充実した気持ちになるのだそうです。
これは私自身もそうですが、電話応対には多かれ少なかれストレスを感じます。特にコールセンターのオペレーターの場合、電話と向き合う時間が長くなります。一日、電話とだけ向き合って、直接誰とも言葉を交わさない。そんな状況で働いても楽しいはずがありません。私たちは、オペレーターの方々が孤独な思いを感じないように、一日一度、必ず声を掛けるようにしています。また、チームメンバー間はもちろん、お客様とも定期的な意見交換会など、積極的に人とコミュニケーションをとる機会を設けています。コミュニケーションが活発になれば、ストレスも軽減されモチベーションも上がり、サービスの品質向上にもつながります。
楽しくスキルを向上させるイベントやコンテストに積極的に参加
伊藤氏:
高い対応力を維持するために、現場のスキル向上は欠かせません。そのため、弊社では様々な研修やスキルアップのプログラムを用意しています。講師による研修はもちろんですが、イベントやコンテストへの参加など、ゲーム感覚で楽しみながらスキルアップが図れるような取り組みを積極的に実施しています。
- 電話技能検定の実施
- 電話応対コンクール参加
- 企業電話応対コンテスト参加
- 外部講師研修
- 運用教育
また、弊社ではスキル向上を奨励し、高度プロフェッショナル手当制度を導入しています。高度プロフェッショナル手当制度とは、会社が推奨する高度資格を有し、その資格を活用して業務を推進している社員に対し、会社として高度プロフェッショナルとして認定し、月次手当を支給します。具体的には、業務マルチスキルといわれる多能工のように複数の業務や複数のプロダクトに対応できるスキルや、電話技能検定1級などを保有する電話技能スキルなど、高度なスキルを有する従業員がこの認定対象になります。この制度を通じて、従業員は自身のスキル向上、社内での評価の向上、新しい技術や知識の獲得、キャリアプランの立案など、多くの利点を享受することができ、仕事へのやりがいを一層強く感じていただけるようになりました。
一方で、コールセンターは、個人で業務を進めるイメージがありますが、私たちはチームで進めるという意識で動いています。チーム目標や個人目標が設定されており、それが達成されれば評価に応じた報奨金をお支払いしています。メンバーにはやりがいを持って、楽しく働いてほしいと感じているので、働きやすい環境や仕組みづくりを常に心がけています。
1日があっという間に過ぎる。多彩な業種を扱うからこそ感じる満足感
永井氏:
前述しましたが、私たちのコールセンターには、様々な分野の多種多様な質問が寄せられます。いろいろな知識と対応が必要なので、毎日かなり頭を使います。暇か忙しいかで言えば、間違いなく忙しい方に入ると思っています。メンバーからは「1日が経つのがあっという間」という言葉をよく聞きます。ただ同時に、「その分、充実している」という言葉もよく聞きます。コールセンターの業務は、離職率が高く人材が根付かないとよくいわれています。その主な理由は、職場環境への適応、不十分な研修やサポート体制、長時間の勤務などが挙げられ、早期に離職してしまうことが多いそうです。この業界では、協力会社や派遣の方など契約の兼ね合い上、短期間の契約の方もいらっしゃいますが、1年間の離職率は50%以上といわれています。
しかし、私たちのコールセンターでは、20%にとどまり、長期にわたり働いているベテランも在籍しています。低い離職率の背景には、チームでの強力なフォローアップ体制、充実した教育研修プログラム、働きやすい環境への取り組みが寄与しています。さらに多様な働き方を促進するため、当社を含むJBグループ全体が、出社と在宅勤務の柔軟な選択肢を提供し、多様な働き方をサポートしています。これらの取り組みは、従業員の定着を促進し、お客様へのサポートを強化する一助となっています。
また、弊社では設置型社食「OFFICE DE YASAI」というサービスを介して、SDGsへの貢献や従業員の健康促進に配慮した職場環境改善の取組みも行っています。このサービスは、24時間いつでも利用できる設置型の社食を運用センターSMAC内に設け、従業員にフレッシュな野菜、フルーツ、および多彩な惣菜などを提供しています。商品は1つ100円から購入可能で、休憩時間に外出の必要なく、栄養バランスの取れた食事を楽しむことができ、また、夜勤従事者にはこのサービスを無料で提供しています。従業員からは、不足しがちな栄養素を手軽に補給でき、健康意識が高まったとの声が寄せられています。
単なる受付対応のオペレーターから専門的な知識で解決に導くカウンセラーへ
伊藤氏:
弊社のシステムは完全にクラウドへ移行し、音声の自動テキスト化やチャットボットなど、AIを活用した現場支援の機能を多く搭載し効率化を図っており、現場のオペレーター負担を軽減しています。しかし、コールセンターに重要なものは、結局のところ人です。一番大切なのは、現場のオペレーター、そしてお客様とのコミュニケーションだと考えています。私たちは、お客様にとって「顔が見えるコールセンター」であることを常に意識しています。マニュアル通りの対応ではなく、お客様の課題に柔軟に寄り添って解決に導く、人間味あふれたコールセンターです。
また、お客様とのお互いの理解を深めるために、問合せ課題に対しての業務効率化や改善に向けた定期的な報告会開催など、オペレーターやスーパーバイザーとお客様が顔を合わせる機会を設けています。密なコミュニケーションによって理解が深まれば、新たな改善策の提案も進みます。それを繰り返すことで、新たな価値を生み出すプロフィットセンターへと進化し、高いレベルで平準化したサービスが提供できます。そんな未来を、より多くのお客様に体験していただきたい。ぜひ、期待してください。