IT資産管理はツールだけじゃ不十分?アウトソーシング(LCMサービス)のメリット・特徴
更新日 : 2024年11月12日
IT資産管理において、専用の管理ツールを導入している企業は多く存在します。特に少数精鋭で多岐にわたる業務を持つ情報システム部門において、ツールの活用は必須となっているでしょう。
しかしIT資産管理業務は多岐にわたり業務量も膨大であるため、ツールだけで賄おうとすると限界があります。そんなときに考えたいのが、IT資産管理のアウトソーシング「LCMサービス」の導入です。この記事では、LCMサービスのメリットや特徴などをご紹介します。
IT資産管理とは
IT資産とは、企業や組織の活動で利用するITに関わる全ての機器やソフトウェアなどのことです。具体的には、PCやモバイル機器、サーバー、ネットワーク機器、OSやアプリケーションなどが挙げられます。 IT資産管理とは、このIT資産の数や種類、利用状況などを適切に把握し、管理することです。IT資産管理を通してIT資産の見える化を図れば、IT資産の有効活用だけでなくセキュリティ強化やコンプライアンス強化も実現できます。またソフトウェアやハードウェアなどの、設備投資や維持管理にかかる費用(TCO)を削減することも可能です。 |
IT資産管理の課題
IT資産管理においては、さまざまな課題に対処する必要があります。
- 業務の複雑さ
IT資産管理の業務は、ソフトウェア更新やウイルス対策、障害対応、人員の異動に関わる業務など多岐にわたります。
- 端末の多様化
今やPCだけでなく、スマートフォンやタブレットといったモバイル端末も業務に活用されています。IT資産管理としては、それらのデバイスごと、OSごとに管理をする必要があります。
- 働き方の多様化
現在はDX化や感染症対策などをきっかけとして、テレワークが普及しました。IT資産は社外にも存在するようになり、VPN接続をしていないデバイスに関するセキュリティ対策やソフトウェアなどの利用状況は、社内だけで把握するのは困難です。また操作ログの把握も難しいため、内部不正や人的ミスを抑えられない可能性もあります。
- 人材不足
このような複雑な業務に対応する人材も不足しています。「ひとり情シス」という言葉があるように、1人~3人程度の少人数で社内システムの構築から管理・運用・保守まで行っている企業は少なくありません。
IT資産管理の必要性
適切なIT資産管理ができていないと、このような事態を引き起こす可能性があります。
- 余計なIT資産を購入するなどしてIT資産の運用コストが増える
- 利用状況等を把握しきれていないIT資産から、情報漏洩が起こる
- 利用者のコンプライアンス意識が低下し、適切にIT資産を使わなくなる。たとえばソフトウェアの契約ライセンス数を超えてソフトウェアを利用する「ライセンス違反」などが起こりえる
これらの問題を防ぐためにもIT資産管理は必要ですが、人材不足も相まって対応が難しいという課題を抱える企業もあります。
IT資産管理ツールだけでは対応できないこと
IT資産管理の方法のひとつは、専用のツールを導入することです。多くの企業ではそのようなツールを導入してIT資産管理を行っていますが、ツールだけでは対応できない業務もあります。
<ツールではできない業務の例>
- 使用期限が切れたデバイスの入れ替え対応 ・人員の入退社に伴うPCの準備・撤収
- 不要になったPCのデータ消去・廃棄
- その他必要になったタイミングでPCの用意・発注・設定
- 修理対応時の代替機器の準備・保管
- 運用・保守・監視
ほか
このようにツールだけでは対応できない業務は、IT資産管理をアウトソーシングすることで解決できます。
IT資産管理のアウトソーシング(LCMサービス)を活用するメリット
LCM(Life Cycle Management)サービスとは、IT資産の調達から導入・運用・廃棄までのライフサイクル全般をサポートするアウトソーシングサービスのことです。 LCMサービスの活用には、次のようなメリットがあります。 |
専門知識を持つプロに任せられる
IT資産管理に特化したLCMサービスには、専門知識を持つプロが在籍しています。プロに任せることで、管理業務の質を向上させながら、効率化を図ることが可能です。万が一のトラブル発生時も、短時間で解決できます。
社内の情シス担当者がコア業務に専念できる
IT資産管理をアウトソーシングすれば、情報システム部門の担当者が、本来取り組むべきコア業務に集中できるようになります。より重要な業務に時間・労力・コストをかけられるため、情報システム部門の生産性向上、ひいては企業・組織全体の価値向上につながります。
社内の人員不足をカバーできる
業務の標準化ができる作業を外部に委託することで社内の人員不足を解決できるのも、LCMサービスのメリットです。
プロに対応を頼めることから、専門的な知識のある人員の不足もカバーでき、プロの知識をある程度社内に蓄積することも可能です。
LCMサービスの選び方
LCMサービスは、PCメーカーやPCのキッティングを業務とするIT企業などが提供しています。そのサービス内容は様々であるため、サービスの対象範囲や提供企業の情報を細かく把握し、比較・検討することが肝要です。
サービス対象範囲
LCMサービスの対象範囲がどこまでかを確認します。
- PCのみ
- 周辺機器を含むIT機器全般
- ヘルプデスクを含む
- ITシステム全体
というように、サービスによって対象範囲は異なります。
サービス内容
内容は、サービスによって細かな部分に違いがあります。下記はLCMサービスが担う業務の例です。
- デバイス選定・調達
- キッティング
- マスターイメージ作成
- ハードディスク内のデータを消去
- ヘルプデスク
またヘルプデスクもサポート範囲は異なります。ヘルプデスクが担う業務の例としては、故障対応や利用者向けの教育プログラムの展開、システム保守・運用といったものがあります。
料金
LCMサービスの料金体系はサービス対象や内容によって異なり、なかには個別見積もりとなるケースもあります。公式サイトで目安となる費用が公表されていない場合には、事業者に問い合わせを行いましょう。
セキュリティ基準を満たす事業者
事業者がセキュリティ基準を満たしているかどうかも、サービス選定時に確認すべきポイントです。セキュリティ基準の例としては、個人情報の取扱いを適切に行える体制・環境を有することを示す「プライバシーマーク(Pマーク)」や、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の国際標準規格「ISO/IEC 27001」が挙げられます。これらの基準は第三者の観点から、事業者が提供するサービスの品質を評価する目安となるでしょう。
また情報セキュリティサービスに関して、経済産業省が「情報セキュリティサービス基準」を定めています。これには情報セキュリティサービスに関する一定の技術要件及び品質管理についてまとめられており、この基準に適合しているサービスは一定の品質を有すると証明されるものです。「情報セキュリティサービス基準」のうち、「機器検証サービスに係る審査基準」は今後導入される予定となっています。
IT資産の選定から廃棄まで対応が必要なら、LCMサービスが最適
LCMサービスは、IT機器の選定・調達から古いIT機器の廃棄まで、トータルにサポートしています。LCMサービスを活用するとTOC削減やコンプライアンス強化等の効果が見込めます。
LCMサービスについて、さらに知りたい方は下記記事をご参照ください。
まとめ
LCMサービスの必要性やメリット、特徴をご紹介しました。LCMサービスを利用するにはまず、企業・組織内のIT資産管理において抱えている課題を明確にし、どの範囲まで対応が必要か判断することから始めることになります。
JBサービスではLCMサービスをはじめとするソリューションで、システムライフサイクルをトータルサポート。豊洲ソリューションセンターでは、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の国際標準規格「ISO/IEC 27001」を取得しており、IT資産のキッティングから、全国拠点への導入展開、予備機の在庫管理やセンドバック修理、リース返却・廃棄時のデータ消去など、5つのサービスを提供しています。
IT資産管理ツールも非常に役立ちますが、特に少数精鋭の情報システム部門では、ツールだけでは手薄な部分が出てきてしまいます。IT資産管理にお悩みの方は、ぜひJBサービスにご相談ください。