機器の定期点検、保守点検の必要性とメリット
更新日 : 2024年05月30日
機器や設備の点検・メンテナンスや保守・運用といった作業は、品質や安全を守るために非常に重要です。法令遵守のために定期点検を必ず行っているという企業も多いでしょう。一方で定期点検・保守点検は、現場の作業者にとっては普段の業務に加えて行う作業となり、負担が大きくなることが課題でもあります。この記事では保守点検の重要性やメリット、人手不足の場合の対処方法をご紹介します。
機器・設備の保守点検・定期点検とは?
あらためて、保守点検とは何を指すのでしょうか。機器・設備の保守点検の意味や種類について解説します。
保守点検の種類一般的に保守点検とは、機器や設備にトラブルが起こらないように保全する「予防保全」の方法です。点検は「日常点検」と「定期点検」に分類されます。 ・日常点検:機器や設備を使用する作業者が、業務の前後に行う点検 ・定期点検:月に1回、数カ月に1回というように期間を決め、実施する点検。日常点検では行わない内容の点検を行う。 |
点検の内容は業種や企業によって異なる
保守点検と一口にいっても、どの点検を指すのか企業によって異なります。保守点検に日常点検と定期点検の両方を含むケースもあれば、保守点検=定期点検としているケースもあります。
また設備保全や定期メンテナンスなどの言葉も予防保全の意味を持ち、おおむね定期点検のことを指します。企業によって、また機器が使われる現場によっては、それぞれの言葉を厳密に使い分けている場合もあるため注意が必要です。
この記事では保守点検=定期点検として記載しています。
保守点検、定期点検はなぜ必要なのか
保守点検の実施目的のひとつは、機器や設備の故障や不具合を発見し、不良品の発生やサービスの停止を未然に防ぐことです。機器の故障や不良品の発生は、生産性の低下を引き起こし、人命を脅かす事故を招いたり、リコール問題に発展したりする恐れにつながります。また故障・不良品の対処には突発的なコストがかかる点も問題です。
保守点検を行い、機器や設備を安全に使えるようにすれば、現場で働く作業者が安全な環境で働けることにもつながります。特に製造業においては、保守点検は品質管理の面でも重要な作業です。保守点検によって機器・設備の問題点を明確化でき、後日社内で協議して対応にあたることもできます。
下記のような製品を扱う業者や医療機関では、定期点検及び行政への報告が各法律によって義務付けられています。
<例>
・第一種特定製品(フロン類を使用した業務用冷凍空調機器):フロン排出抑制法
・消防用設備:消防法
・医療機器:医療法、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法)
・エレベーター:建築基準法
ほか
保守点検・定期点検(メンテナンス)のメリット
保守点検のメリットを、より詳しく見ていきましょう。 1 トラブル予防と安全確保保守点検の最も重要な目的は、トラブル予防と職場の安全性確保です。保守点検によって機器・設備の安全を保つとともに、作業者が保守点検を通して機器・設備に対する知見を深めることができます。平常時はもちろんトラブルや不具合が発生した際には、知見を活かし、適切でスピード感ある対応が可能となります。新しい機器を導入する際にも、過去の知見が活かされることとなるでしょう。製造に関する機器の場合は、不良品の発生を防止することにもつながります。 また、顧客先に機器を納品している場合は、アフターサービスとして機器の点検を含めることで客先でのトラブル防止や顧客満足度の向上に貢献します。 |
2 長期的なコスト削減
定期的な保守点検では、機器・設備の消耗や劣化を把握できます。状態を把握しておけば、将来の機器・設備の不具合や故障の兆候も察知でき、適切なタイミングで修理や部品交換ができるでしょう。修理・交換の計画を事前に立てることで、メンテナンスコストを削減できます。一部の故障・不具合に迅速に対応できると、機器・設備全体に影響せずに済み、大きなコストがかかりにくくなります。
また保守点検は機器・設備の故障リスク低減につながるため、機器・設備の停止期間を最小限にすることが可能です。機器・設備の稼働停止によって業務が滞った分の売上の減少、業務量の増加など、関連するコストの発生も防げます。
3 機器の寿命延長
機器・設備の劣化は必ず起こるものですが、保守点検により、機器・設備の寿命を延ばせる可能性があります。使い方や環境、メンテナンスの方法によっては、実際に耐用年数より前に使用できなくなるケースもありえます。保守点検を通して機器・設備に調整を行うことによって寿命が延びることで、機器・設備の購入や交換も先の話となり、業務停止のリスクや費用の発生を低減することが可能です。
4 保守点検記録の管理
保守点検が法律で義務付けられている場合、記録の保管期間も法律によって決まっています。たとえば医療機器の場合だと最低でも3年、または医療機器の有効期限+1年です。
保守点検の記録があると、記録を参考に機器・設備の寿命や部品交換が発生する時期をある程度予測することが可能です。交換コストがいつ発生するのか、予算を前もって組めることにもつながります。
また保守点検業務を外部サービスに委託する場合にも、過去の記録は機器・設備の知見を共有することに役立ちます。なお保守点検業務を外部サービスに委託すると、現場作業員の負担が大きい報告書作成を代行してもらうことも可能です。
5 法令順守とリスク軽減
機器・設備の故障を原因とする事故が起こり、法律で定められた保守点検を適切に実施していなかったと判明した場合には、企業や医療機関などは管理責任を問われることとなります。保守点検が義務付けられている機器・設備は、いずれも故障や不具合があれば人命の安全を損なう可能性があるものです。保守点検を疎かにしている、あるいは点検結果が活かされていないとなれば、企業や医療機関の社会的信用を失うことにもつながり、ひいては経営上の重大な損失となるでしょう。
さらに作業員の安全を確保できることも保守点検のメリットのひとつです。安全な労働環境を整えるのは企業の義務であり、機器・設備の故障・不具合に対処しないと重大な事故につながる可能性があります。
このように法令順守とともに、現場で働く人の安全を守るためにも、保守点検は欠かせません。
定期点検、保守点検のサポートはJBサービスにご相談ください
不良品を発生させない、医療の安全や現場の作業員の安全を守るという意味でも、保守点検は大切です。もし人員不足によって充分な保守点検ができていないと感じるのであれば、アウトソーシングを検討してみてはいかがでしょうか。
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対応可能となる製品は、IT機器をはじめ、店舗や商業施設・物流倉庫などで利用する業務用の機器や歯科・医療機器などさまざまです。
<対応機器の例>
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