海外企業が日本進出するには?日本市場の特徴と課題
更新日 : 2024年03月21日
海外企業が日本へ進出する際には、言語や風習、法律面などの違いから、さまざまな課題に直面することになるでしょう。課題を克服し日本でのビジネス環境を整え利益につなげるためには、パートナーとなる日本の企業を見つけることをおすすめします。
この記事では、海外企業が日本へ進出する背景やメリット、課題についてご紹介します。
海外企業が日本に進出する背景
海外企業が日本への進出を検討する理由は、日本に生産拠点や市場を求めているからです。経済産業省発行の「令和4年度我が国のグローバル化促進のための日本企業及び外国企業の実態調査報告書」 を参考に解説します。
この報告書によると、調査に協力した海外企業135社のうち約半数の企業が、日本のビジネス環境を「魅力的」であると評価しています。さらに海外企業から見た「ビジネス拠点タイプ別の投資先として最も魅力的な国・地域はどこか」という質問への回答では、産業技術や製品試験等の研究開発を行う拠点である「R&D拠点」で日本が1位。その他、2つ以上の国・地域が関わる事業の拠点となる「地域統括拠点」では2位、営業・販売・マーケティング等の拠点である「販売拠点」は3位、資産管理の中枢で国際的な拠点である「金融拠点」が4位となっています。
海外企業から見た「日本市場の強み」
海外企業からは、日本市場の大きな強みとして以下の2点が評価されています。 社会インフラが整備されている日本は他国と比べて、交通やエネルギー、情報通信等のインフラが整備されていることが、海外企業にとっての利点です。先進国と比較した場合、途上国と比較した場合のいずれも、日本のビジネス環境の強みとして「整備されたインフラ」が1位に挙げられています。 アジアでは1人あたりのGDPから考えると、おおむね低所得の国ほどインフラの整備が遅れている傾向にあります。特に道路の舗装や電力については、高所得国と低所得国との差が顕著です。その点、日本では高度経済成長期に交通をはじめとする社会インフラが整備され、インフラに関する技術を蓄積しています。道路など一部のインフラは老朽化しつつあるとの声もありますが、まだまだ日本のインフラの状況は世界的に見ても優位にあるといえるでしょう。 |
世界でも秀でた市場の大きさ
海外企業は、日本の市場の大きさも魅力に感じていることが調査結果からうかがえます。上述した経済産業省の調査では、日本のビジネス環境の強みの2位が先進国・途上国どちらも「市場の大きさ」でした。
たとえばコンテンツ産業では、日本の国内コンテンツ市場は2020年で11.8兆円、2021年で12.5兆円となっており、現在も拡大中です。日本のコンテンツ市場の規模はアメリカ、中国についで世界3位。世界のコンテンツ市場は2020年には約1.1兆ドル(約149兆円)であり、おおむね1割弱のシェアを日本が担っていることになります。
その他自動車産業や製造業など多くの市場で、日本は地位を確立しています。ただ産業によっては既に市場が成熟しているとみなされることがあり、「市場の成長性」については海外企業によって評価がわかれています。
海外企業にとっての日本市場進出の課題
海外企業が日本に進出する際には、日本市場の動向以外にも、日本ならではの課題を把握しておくことが重要です。 英語ほか外国語ができる人材の確保海外企業が日本へ進出する際の問題のひとつは、英語ができる日本人が少ないことです。海外のスタッフが日本でサービスのローカライズやサポートを行うには、どちらかの言語でコミュニケーションをとる必要があり、どうしても言語の壁が発生してしまいます。日本にはIT、マネジメントなどの高いスキルを有している人材はいますが、英語でのコミュニケーションにも長けている人材は少ない状況です。この「英語でのコミュニケーションができる人材が少ない」「スキルと言語能力の両方を備えた人材がいない」といった問題は、R&D拠点をはじめ、どの分野の拠点でも挙げられています。 |
日常生活でのコミュニケーション
日本人を現地採用せず駐在員となる社員を海外から日本へ派遣する場合、その駐在員が日本の生活になじめない可能性もあります。食品や日用品の販売店店員など日常生活において接する日本人が、英語に堪能でなくコミュニケーションできない場合があるためです。
また諸々の行政手続きも面倒な手間となりえます。地域によってはIT化がなされておらず用紙への記載・提出が必要な場合もあります。日本語に堪能でないのであれば駐在員は書類上の手続きに戸惑うことがあるでしょう。
事業活動コスト
事業活動コストが高くなりがちな点も問題として挙げられます。
まず日本でビジネスをする場合には下記のような方法があります。
- 販売代理店として日本企業と契約を結ぶ
- ライセンス契約をし、日本企業で製品を製造・提供する
- 日本企業と海外企業で合弁会社を設立する
- 海外企業の日本支店や駐在員事務所、子会社を設立する
事業拠点を得てからは、製品・サービスを日本向けにローカライズすることになります。また製品のアフターサービスでは現場への駆け付けサポートが基本となるため、場合によっては日本全国に拠点が必要です。
さらに日本では法人登録する場合には法人税、ほかにも源泉徴収や消費税など、日本で納めなければならない税金が存在します。それらの税率は海外企業からは高いとみなされているのです。
こういった事業活動に関連したコストの高さも日本市場の「弱み」として海外企業に認識されています。
人材の確保と人件費
他国と比較すると、日本人の人件費は基本的に高めとなる傾向にあります。さらに英語ができる数少ない人材を雇用しようとすると高い報酬が必要です。
上記で挙げた課題は日本に初めて進出する場合には解決のハードルが高いものとなりえるため、日本の企業に協力を仰ぐとよいでしょう。実際に調査報告書でも、海外企業が望ましいと考えている投資形態のうち最も多かった回答は「日本企業との業務提携」となっています。
事業をサポートしてくれるパートナー企業との連携もポイント
パートナー企業として日本企業と提携すると、さまざまなメリットがあります。例としてWebサービスの保守・運用業務を委託するとしましょう。パートナー企業が既に日本全国に拠点をもっている場合、それらの拠点を利用すれば拠点構築を一から行うことなく日本全国でサポート対応を行うことが可能です。また代理店契約やライセンス契約などの形をとって新たな法人を設立しない場合には、法人設立のビジネス要件や法的要件を避けられます。
パートナー提携はJBサービスへ
海外と日本では、アフターサービスの習慣が異なります。例えば、海外企業によってはメーカーが保守サービスを行わず、セルフメンテナンスとなるケースがあります。日本では問合せに対して現地への駆けつけ対応が基本となるため、アフターサービスに対応できる日本企業との提携が必要になるのです。
JBサービスでは、海外メーカーの日本法人様が、国内で輸入・販売されるさまざまな製品のアフターサービスを代行しております。24時間対応のコールセンターやオンサイトでの修理・点検サービスなど、個々のお客様のニーズに合わせた最適なサービスをご提案していますので、ぜひお問い合わせください。