製造業の品質不良対策とは?対応のポイントとアウトソーシング
更新日 : 2024年04月02日
製造業における品質不良の削減は難解な課題であり、対応が後手になり続けて悩んでいる方も多いのではないでしょうか。品質不良対策のポイントは、根本原因を特定すること、想定外のコストを抑えることなど、いくつかあります。この記事では品質不良の対応のポイントや、品質改善の助けになるアウトソーシングについてもご紹介します。
製造業における品質不良とは
まずは製造業で求められる品質と、品質不良の考え方からご紹介します。※設計不良については割愛しています。 品質不良とは製造業において品質とは、製品やサービスが利用者・顧客が求める水準に達しているかどうか、その度合いを指します。製品の品質は、完成形や機能が設計・仕様に沿っているかどうかで評価されます。 製造業における品質不良とは、製品が設計・仕様に沿っておらず、利用者・顧客が求める品質水準に達していないものです。 品質不良が頻繁に発生すると、その製品・サービスを提供する企業の信頼が落ちる可能性がある上、修理や交換のための費用、部品や在庫の保管場所の確保や管理などでコストがかかる場合があります。 |
品質不良が発生する要因
品質不良が発生する原因は、主に下記4つです。
ヒューマンエラー
直接的な要因として、作業者が何らかのミスをしたために不良品となることが挙げられます。その背景として考えられるのは、作業者の技術力不足や経験不足、体調不良や疲労、仕事へのモチベーションの低下などです。
また作業者への教育をする指導者や責任を負う管理者も同様で、指導力や体調などが品質不良の遠因となりえます。
機械の故障・不具合
機械の故障や不具合が原因で品質不良が発生することもあります。さらに故障や不具合の原因は、機械設備そのものが老朽化している、定期的なメンテナンスを行っていなかった、などの可能性が考えられます。
また機械の故障だけでなく作業環境も品質不良の原因となりえるものです。たとえば照明の明るさが十分でない、作業場に危険なエリアがあり作業に集中できないなど、製造のための環境が安全に整えられていなければ、作業ミスが発生する可能性は高くなります。
原材料が低品質
製品に使用する原材料の品質が一定でなく、不良品が混じっていたために品質不良となる可能性もあります。間接的な原因としては、原材料の保管が適切ではない、原材料の供給元を変更した結果原材料の品質にばらつきが生じた、原材料を調達する際に破損した、などが考えられます。
製造工程の不備
製造工程での作業手順が不明確であれば、作業者によって品質がバラバラになる可能性があります。なかには製造スピードを上げるため本来は必要な工程を省いたり不適切なツールを選んで使用しているケースや、製造現場に作業マニュアルがないケースもあります。また作業マニュアルが作成されていたとしても、作業場所や原材料の変更などの情報が更新されておらず古いままのマニュアルを参照していれば、品質不良につながりかねません。
品質不良が発生した場合の対応
品質不良が発生した場合は、まず利用者・顧客に状況を確認し、両者が必要と判断すれば製品の返品・交換対応を行います。返品・交換のどちらの対応になるかは、基本的に製品の製造者や販売元の判断にゆだねられます。製品や不良の状況によっては、返品・交換ではなく現地で修理対応となる場合もあります。
ロット生産の場合は、不良の範囲が及んでいる可能性がある製品すべてを確認する必要があります。
その後は品質改善のフェーズです。不良品が発生した原因を分析して解決策を策定することになります。また返品された製品は、部品を交換するなどして修理して保管、再度販売するケースもあります。
製造業における品質不良対応の課題
品質不良への対応には、人員や在庫、コストの問題を含みます。
対応する人員の不足
製造業における品質不良対応の課題のひとつは、人員不足です。製造業は近年の少子高齢化による影響を受け、若年者の就業者数が大きく減少しています。派遣人材や海外からの実習生を招いて人員を確保している企業もありますが、派遣人材や海外実習生の多くは有期契約で雇用されているために、品質不良の対応に十分なスキルを持ったとしても職場に定着しにくくなります。
不良在庫の増加
不良在庫とは、売れる見込みがないために企業にとって経済的損失となる在庫です。不良在庫は品質不良と判断された製品の他、過剰生産のもの、売れ残った製品、型落ちの製品などが該当します。ほかに流行りが過ぎた服や賞味期限切れの食べ物などの商品も不良在庫となります。
不良在庫が増加すると、それらを保管する場所が必要です。しかし適切な保管のためには保管場所や保管状況に注意する必要があります。たとえば保管場所に腐敗した不良在庫が混じっているために、ほかの在庫まで腐敗するというように、不良在庫がほかの在庫に影響することも起こりえます。
コストの増加
品質不良に関するコストには、不良を予防するためのコストと、不良品に対応するためのコストがあります。
不良を予防するためのコストは、いわば品質管理のための費用です。関連機器のリプレイスのための購入費用、故障を防ぐための点検費用などが該当します。
不良品に対応するためのコストは、返品にかかる送料や人件費、製品の修理代、部品代などです。また不良在庫の保管場所の賃料や光熱費、管理者の人件費などのコストも含みます。不良品対応コストは不良品が多いほどかさむため、不良を予防するためのコストに重きを置いて不良品を発生させない企業努力が必要でしょう。
品質不良への対策や課題解決の方法
品質不良への対策は、根本的に品質改善を行うことが第一となります。前提として、製造業においては継続的に品質管理ができる環境を整えることが必要です。品質管理は主に製品・サービスを作る工程を管理する「工程管理」、製品の原材料や部品を検査する「品質検証」、製造工程で発生するさまざまな問題を解決する「品質改善」に分けられます。 |
品質改善を行う
品質改善においてはじめに行うのが、不良品が発生した原因を洗い出すことです。原因が原材料にあったのか、製造工程において機器や人などに問題があったのか、仮説と検証を繰り返しながら徐々に根本的な問題点を絞り込みます。その後、問題点から恒久的な解決策を立案することになります。
品質改善を実現する方法は、業務標準化のためのマニュアル作成/更新や定型業務の自動化、組織内に品質管理専門部署を立ち上げるなど、直接的な解決策から組織を巻き込む大規模な対策までさまざまです。
交換ではなく修理で対応できる体制を作る
不良品交換のための製品を在庫としてストックするには保管場所が必要で、管理費もかかってきます。在庫にかかるコストの解消のために、可能な限り新品交換ではなく修理で対応する仕組み・体制にするのもひとつの手です。
専門業者に委託する
不良品の修理や交換などの対応を外部の専門業者に委託することもできます。機器の修理のために現地で作業する必要がある場合には、全国に拠点をもっている専門業者を選ぶとよいでしょう。専門業者が製品に対する知識をもっているかどうかも専門業者を選ぶポイントとなります。
JBサービスが製造業の課題解決をサポート
JBサービスでは、あらゆる機器のメンテナンス代行サービスを行っています。IT機器のほか、店舗や商業施設・物流倉庫などで利用する業務用機器、医療機器、3Dプリンターなどさまざまな機器の対応が可能。製品の事前点検から良品の保管、配送、修理などのアフターサポートまで対応します。また24時間コールセンター/全国オンサイト保守も行っており、品質不良への対応に悩む製造業の課題解決をトータル的にサポートいたします。