
新入社員の入社時や新たな事業所の開設、数年に一度の買い替え、故障時の交換など、業務用デバイスのキッティングは、情報システム部門にとって負担の大きい業務です。昨今は機器の多様化に加え、アプリケーションやツールの設定も複雑になり、作業には多くの時間と手間がかかります。台数が増えるほど工数や作業場所・保管場所の確保も課題となります。テレワークが普及する中で、情報システム部門だけは出勤せざるを得ないという企業も多いのではないでしょうか。
ここでは、キッティングの種類や自社でキッティングする際の注意点、効率化のポイントなどをご紹介します。
キッティングとは
キッティングとは、PCやスマートフォン、タブレットなど業務で使用するデバイスに対して、初期設定やソフトウェアのインストールなどを行う作業全般のことです。
セットアップやインストールとキッティングとの主な違いは、作業の範囲です。セットアップはOSの初期設定、インストールはソフトウェアやアプリケーションをデバイスで使用できるように設定・展開することです。一方、キッティングは英語のkitに「装備一式を準備する」という意味がある通り、エンドユーザーがすぐに業務で使用できる状態にするための作業を指します。
具体的には下記のような作業項目が含まれます。
- 開梱・起動確認
- キーボード・マウス・モニターなどの周辺機器の接続
- BIOSの起動・設定
- OSのインストール・セットアップ
- インターネット接続のためのネットワーク設定
- 業務用アプリケーションのインストール・ライセンス認証
- セキュリティの設定
- アップデートやパッチの適用・動作確認
- 各種ドライバ・ツールの設定
- 管理ラベルの貼付と管理台帳への記帳
キッティングの種類
キッティングの際は、導入台数や運用方針に応じて適切な手法を選ぶことにより、作業効率や品質を大きく向上させることが可能です。ここでは、キッティングの代表的な4つの種類について解説します。
個別キッティング(手作業キッティング)
個別キッティング(手作業キッティング)は、PCを1台ずつ手作業で構築していく方法です。OS設定やアプリケーションのインストール、IPアドレスの個別設定など、すべての設定を手作業で行います。PCの台数が非常に少ない場合や、ユーザーごとにカスタマイズされた構成・設定が必要な場合などに適しています。一方で、台数が増えるほど作業時間や工程が増大するため、大量展開には不向きな点が課題です。
マスターイメージ展開(クローニングキッティング)
マスターイメージ展開(クローニングキッティング)は、あらかじめ作成したマスターイメージを他のPCに複製する方法です。同一構成のPCを短時間で展開できるため、新入社員の入社や拠点展開など、決められたタイミングで大量のPCを準備しなければならない場合に適しています。ただし、構成・設定のパターン変更や更新頻度が発生すると、マスターを作り直す必要があります。
マスターレス(マスターレスキッティング)
マスターレス(マスターレスキッティング)は、マスターPCを作成せず、アプリケーションのインストールや設定手順をあらかじめシナリオ化し、RPAなどを用いて自動実行する方法です。シナリオの組み合わせにより設定を柔軟にカスタマイズできるため、機種や構成・設定の種類が多い環境に適しています。事前設計が非常に重要となり、シナリオ通りに順次インストールしていくため、展開に時間がかかりやすい点に注意が必要です。
ゼロタッチキッティング(自動化・MDMによるキッティング)
ゼロタッチキッティング(自動化・MDMによるキッティング)は、「Windows Autopilot」を活用し、クラウド上の設定・アプリケーションを自動展開する方法です。ユーザーが電源を入れるだけで利用可能な状態にできる点が大きな特徴で、リモートワーク環境にも適した手法といえます。管理者の作業を最小限に抑えられる一方で、Microsoft 365のライセンスと通信環境の整備が不可欠です。
キッティングの手法ごとのメリット・デメリット
どのキッティングの種類を選択するかは、対象の台数や設定内容によります。それぞれの手法の選択ポイントと、メリット・デメリットは以下の通りです。
| 選択のポイント | メリット | デメリット | |
|---|---|---|---|
| 個別キッティング(手作業キッティング) |
PCの数が少ない 構成・設定のカスタマイズが多い |
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| マスターイメージ展開(クローニングキッティング) |
PCの種類が少ない・構成や設定の変更が少ない 年度の変わり目など、決まったタイミングで大量のPCを展開する |
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| マスターレス(マスターレスキッティング) |
PCの種類や構成・設定の種類が多い 自動化はしたいが、Windows Autopilotを導入するのはハードルが高い |
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| ゼロタッチキッティング(自動化・MDMによるキッティング) |
既にMicrosoft 365を利用しているなど、クラウド活用が進んでいる テレワーカーが多い |
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Windows 10/11特有の導入・展開手法については、以下のコラムをご覧ください。
キッティングを自社で実施する際の注意点
作業手順の確認・事前検証
自社内でキッティングを行う際に最も重要なのは、事前準備です。
キッティングは、1つ1つは単純な作業ですが、作業項目は多岐に渡ります。クローニングの場合は、マスターイメージに1つでも設定ミスがあれば、コピーしたすべてのデバイスが不良品になってしまうため、絶対にミスは許されません。小さな設定ミスや、付属品の同梱し忘れなどでも、アプリケーションが使えない、ネットワークにつながらないなど、業務に大きな影響を与えてしまいます。
このようなミスが発生しないように、事前に作業手順書を作成して入念な検証作業を行い、作業時にはチェックシート、資産管理台帳の記入を忘れずに行うことをおすすめします。

スケジュール管理
キッティングは、複数のデバイスに対して一括で行われるため、作業に時間がかかります。
情報システム部門では、日常の運用業務と並行してキッティングを行うことが多く、綿密なスケジュール管理が不可欠です。特に新入社員の配属日は変更できないため、作業遅延は重大なリスクとなります。キッティング作業中に予期せぬトラブルが発生して大幅な遅延が生じるリスクも考慮し、余裕のあるスケジュール管理・人員配置を行いましょう。

セキュリティ対策
キッティングを行う際には、以下のセキュリティ対策を徹底することも重要です。
- OSの最新化
- デバイスの暗号化
- セキュリティソフトや監視ツールの導入
- パスワードポリシーの設定

従業員による私的なサイト閲覧やアプリケーションのダウンロードは、ウイルスに感染し、機密情報・個人情報の漏えいが発生してしまうリスクがあります。
キッティング時には、以下のセキュリティ設定も行いましょう。
- アプリ制限:業務外アプリのダウンロードや使用の禁止
- Webフィルタリング:業務に関係のない、または危険なサイトへの接続を遮断
- 紛失・盗難対策:緊急時の遠隔ロックやデータ消去機能の実装
効率的なキッティングを行うには外部委託がおすすめ
数台のキッティングであれば、自社内で作業した方が効率的な場合もありますが、数十台といった規模のキッティングを一度に行う場合は、キッティング代行業者へアウトソーシングすることをおすすめします。外注するにはコストがかかりますが、自社で対応するとかえって作業負荷が高くなってしまい、結果的に想定以上の時間や人件費がかかってしまうことも少なくありません。煩わしいキッティング作業を専門のプロに任せることによって、社内担当者は本来の業務に集中できるだけでなく、さまざまなメリットが期待できます。
キッティングをアウトソーシングした場合のメリット
1.作業の効率化・負担の軽減

キッティングを外部委託することで、作業を効率化でき、情報システム部門の負担を軽減できます。
社内でキッティングを行う場合、人手や作業スペースが限られているため、作業効率の低下が懸念されます。キッティング代行業者であれば、台数が多い場合でもスピーディなキッティング作業が可能で、すぐにデバイスを使用できる環境を整えることができます。
2.作業品質の均一化
キッティング代行業者はクローニングや自動化ツールなどを使用してキッティングを行うため、作業漏れやミスが発生しにくく、端末の品質を一定に保つことができます。専門のプロに任せることで、デバイスの初期不良やトラブルが発生した場合にも、臨機応変に対処してもらえるため、業務への影響を最小限に抑えられます。
3.資産管理の徹底

キッティング代行業者がデバイスごとの設定内容やソフトウェアのリストを作成し、付属品もリストにして納品するため、資産管理が容易になり、登録の手間も削減されるメリットがあります。
4.さまざまなデバイスに対応できる

PCだけでなく、スマートフォンやタブレット端末などを業務に利用する機会も増えています。また、テレワークの導入に伴い、端末を増やすケースもあるでしょう。その際は、セキュリティやネットワーク設定など、スマートデバイスならではのキッティング作業が必要になります。PC以外のデバイスのキッティングが難しい場合は、キッティング代行業者に任せるのがベストです。
キッティング代行サービス選定時は、対応範囲と品質管理体制を確認することが重要です。作業手順書やチェック体制の有無、セキュリティ対策、トラブル時の対応を確認しましょう。加えて、費用感や実績、口コミなども比較検討し、信頼できる業者へ依頼することが失敗防止につながります。
【関連記事】キッティング代行サービスとは?外注のメリットや代行業者の選び方を解説
まとめ
キッティングの概要や注意点などをご紹介しましたが、効率的なキッティングを行うためには、アウトソーシングがおすすめです。
JBサービスのキッティングサービスは、短納期で大量台数のキッティングに対応可能。豊富な知識と経験を持つエンジニアが、セキュリティ対策が万全なセンターで正確でスピーディなキッティングを行います。
業務用デバイスのキッティングや日々の運用管理に課題をお持ちのお客様はお気軽にご相談ください。
