3Dプリンターを企業が導入するメリット・デメリットとは

更新日 : 2022年01月28日

3Dプリンターを企業が導入するメリット・デメリット

3Dプリンターとは、CADやCGなどのデータを元に、樹脂や金属を一層ずつ積み上げていき、立体物を造形する機器です。ニュース映像などで、造形の様子を見たことのある方も多いのではないでしょうか。
その3Dプリンターが、機械関連や医療機器といったものづくりの企業に導入されています。開発工程に3Dプリンターを導入することにより、開発期間の短縮や製品の品質向上が見込めるためです。
この記事では、3Dプリンターが製品開発でどのように使えるかとともに、3Dプリンター導入のメリット・デメリットをご紹介します。

3Dプリンターを導入するメリット

3Dプリンターを使うと、金型や鋳型、機器の部品、医療モデル、建築模型といったものを作成できます。複雑な形でも造形が行えること、またアイデアをすぐ形にできることが3Dプリンターの大きなメリットです。
製品開発は、製品の企画立案の後、部品設計や試作・検証を経て製造へ、という流れがおおまかなプロセスとなります。3Dプリンターは、これらのなかでも特に企画立案や試作、製造までにおいて活躍します。
このような分野において3Dプリンターを導入し活用することで、どのようなメリットがもたらされるのかを具体的にご紹介します。

試作や開発の期間を短縮できる

期間の短縮

従来の試作ではおおむね数日から数週間ほどの期間が必要で、試作を行うメーカーへ外注する場合はさらに多くの時間を要しました。しかし3Dプリンターを利用すれば、試作品を比較的簡単に短期間で作れ、製作や外注にともなう期間を短縮できます。

試作品の他にも、製造段階で使用する金型や鋳型なども造形できるため、従来外注していた工程の内製化を図れます。また、本格的な製造の前に試作品の検証段階でミスを発見できると、手戻りが減り、後工程への影響も少なくなるでしょう。

品質の向上

3Dプリンターでは、従来の方式では難しかった複雑な形の試作品を製作できます。
実際に試作品を見て触れることで確認できるため、データ上での考察よりも問題点の早期発見が可能です。試作段階での細かな検証が可能となり、問題点の発見から改良までのサイクルを短期間で繰り返し行えるため、製品の品質向上が期待できます。

また少量であれば、3Dプリンターで直接製品を製造することも可能です。カスタマイズを加えることもできるので、顧客の要望に応えた製品を製造できるでしょう。

開発コストを削減できる

試作品を外注する場合は、試作品を製作するメーカーとの打ち合わせや実際の製作にかかる費用が必要でした。3Dプリンターで試作プロセスを内製化できれば、これらの外注費が不要となります。

試作品をすぐに確認でき、問題点があっても素早く気づいて改善を図れるため、試作回数が減ってさらなるコスト削減につながるでしょう。

在庫コストの削減も、メリットのひとつです。3Dプリンターで必要に応じて金型や治具を製作できるため、それらのストックおよび在庫スペースが不要となります。

新しいアイデアの創出

3Dプリンターで作った試作品による闊達なコミュニケーション試作品を開発チーム内で共有できることから、複数のメンバーの間で具体的な共通認識を持つことが可能となります。思いついたアイデアを気軽に試作でき、その試作品からさらにアイデアを出せるといったように、アイデア創出のためのサイクルが生まれることでしょう。

開発チーム内の議論がより有益になり、コミュニケーションの活性化を図れる点も、3Dプリンター導入のメリットのひとつです。

3Dプリンター1台で加工作業が完了する

たとえば切削加工では、追加工が必要となるケースや、製品の形状の都合で細部に刃物が入りにくい場合があります。そのように本来は何段階かの加工作業が必要な形でも、3Dプリンターであれば一度の作業で完結できます。

3Dプリンターのデメリット・注意点

多くの分野で活躍が期待される3Dプリンターですが、用途によっては向いていない場合やかえってコストが高くなる場合もあるため、導入や利用にあたっては以下の2点に注意する必要があります。

強度・耐久性に関する課題がある

3Dプリンターは、原材料となる樹脂などを一層ずつ積み重ねて造形します。そのため各層の上下の結合部分が弱くなり、製品の耐久性に問題が発生する傾向があります。また光硬化樹脂を用いる光造形(液槽光重合)の場合は、光硬化樹脂の性質の都合上太陽光に弱く、経年によって劣化する可能性があります。

試作品であれば強度がなくてもある程度要件を満たす可能性がありますが、製品を作るとなれば3Dプリンターでの製造が適切であるかどうかを考えなければなりません。

実際に日本では、製造よりも試作品や金型の作成用途に3Dプリンターを利用するケースが多く見受けられます。

大量生産には適していない

3Dプリンターは、1つのものを作るのに時間がかかることと材料のコストが高くつくことなどから、大量生産には向いていません。

逆に、3Dプリンターに向いているのは多品種を少量生産する場合です。材料にも金属や樹脂、石膏などいくつか種類があるので、製造するものや数量によっては3Dプリンターの導入を検討する余地があるでしょう。

まとめ

多品種少量生産の時代において開発プロセスの変革を考えているのであれば、3Dプリンターは選択肢として検討する価値のあるものです。ただし3Dプリンターのメリット・デメリットを踏まえ、用途に適しているかどうかを検証することが肝要です。

また3Dプリンターのメリット・デメリットは、光造形かインクジェット式かなどの造形方式によっても細かな違いがあります。詳しくは下記の記事をご参照ください。

https://www.jbsvc.co.jp/useful/3d/3d-printer-basics/3dprinter-modeling-method.html

JBサービスでは、3Dプリンターを検討中のお客様に最適な機器・素材のご提案や導入後の保守・メンテナンスまでトータルサポートさせて頂いていますので、導入の際はぜひお気軽にご相談ください。

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